秋好院長ブログ
NHKチョイスシリーズ3 ストリッピング治療について
投稿日:2021年3月26日 カテゴリー:お知らせ
今回はストリッピング治療についてです。
当院ではストリッピング治療をHPでも前面に押し出しているにも関わらず、当院でももう三年以上ゼロです。
ストリッピング治療と同様に下肢静脈造影も現在はほとんど行われていません。私自身、もう10年以上やっていません。
羊頭狗肉と非難されれば、そのとおりです、とお答えする他ありません。
では、なぜ前面に押し出すのか?
このストリッピング治療と下肢静脈造影の組み合わせは下肢静脈治療においては最強です。特に達人と言われるようなレベルの先生が行った手術は本当に再発しないし、完璧としか言いようがない。
ただし、ストリッピング術では入院が必要だし、術後の痛みもレーザー治療より強くなってしまいます。残念ですが、今の風潮ではストリッピング術が復活することはまずないのが現実だと思います。当院でも希望者ゼロがずっと続いています。
ストリッピング術の意義とは下肢静脈瘤の解剖生理を手術を通じて学べるということです。ストリッピング術の経験から学んだことは1)伏在静脈、副伏在静脈、不全穿通枝等の逆流源を画像診断から正確に把握し、逆流を徹底遮断する、2)表在静脈瘤処理をおろそかにすると再発や追加治療の原因となる、ということです。ストリッピング術の経験や知識なくして行うレーザー治療やグルー治療は、本当にいい加減な治療となります。また、私が旧式のレーザー治療や高周波治療や新興のグルー治療に批判的なのはこれらの治療機器がこの二点を完全に解決するものではないからです。
手術を受ける以上はベストを尽くしてほしいというのは当たり前の気持ちだと思います。医療側がベストを尽くすのは当然のことですが、患者側も怪しいネット広告やSNSに踊らされずにストリッピング術の経験を有するきちんとした血管外科医を選んでほしい、というのが血管外科医の願いです。