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湘南平塚下肢静脈瘤クリニックブログ

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秋好院長ブログ

夏休み前の反省

下肢静脈瘤クリニックは夏が繁忙期です。暖かくなると静脈瘤によるかゆみやむくみがひどくなる上に、半ズボンやスカートを履くので指摘される機会が増えるからと思われます。今年はお盆休み返上で働き続けました。そのかわりに9月にしっかりと休みをとります。

 

今年の夏は「下肢静脈瘤による皮膚炎をどうやって予防・撲滅するか」ということをテーマにしました。

今回はこのテーマについての反省を述べてみたいと思います。

 

1.下肢静脈瘤はほっておいてもいいことはない。

下肢静脈瘤は多くの人が持っています。下肢静脈瘤手術には保険が使えます。

ただし、むやみやたらと保険を使うと下肢静脈瘤だけで保険が破綻するので一定の制限(保険適応)がかけられています。また、つい10年前までは入院手術がメインだったため、担当の血管外科医が多忙を極めていると下肢静脈瘤の手術は後回しにされるために、よほどの重症でないと手術が必要とは判断されませんでした。

下肢静脈瘤による皮膚炎の患者を診察すると奇妙な事に気が付きます。多くの皮膚炎患者で過去に受診歴があるようです。

軽症の時に受診して、まだ手術は必要ないと言われる>>>そのまま10年以上もほっとく>>>皮膚炎になったり、潰瘍になって他医を受診する。

というパターンがあるようです。

ここで前医を責めるのは筋違いです。前医は受診時点での判断には責任を持ちますが、その後の経過にまで責任を持てません。

また、日本の社会保障制度や海外の成書を含む多くの医学書は65歳程度の寿命を想定しています。60歳代で受診した場合、数年で寿命となることや立ち仕事が減ることを前提に判断されます。したがって、受診の時点でよほどの重症でない限りは手術の判断はされません。

ところが、現在の日本の平均寿命は83.98歳です。しかも、かなり元気で立ち仕事をしている人もすくなくありません。60歳代で受診した場合、20年程度の余命があることを織り込んで診療しなくてはなりません。

現在の日本の超高齢化社会では、長生きによる皮膚炎や潰瘍の可能性を織り込んで判断しなければならない、と実感しています。

 

2.現時点では専門医によるストリッピングかレーザー手術がもっとも効果的

下肢静脈瘤の治療はストリッピング術がメインでしたが、現在はレーザー治療に置き換わりつつあります。現在のレーザー治療はストリッピング治療とほぼ遜色ありません。

ストリッピング術は抜群の根治性を誇りますが、きちんと専門的にやると経験が必要な上にそこそこ難しい、しかも痛い、という欠点があります。この欠点を補うために、高位結紮や硬化療法などの治療が過去には試みられました。保険でも認められています。しかし、再発率も高く、色素沈着や潰瘍などの合併症もあるので廃れていくと思われます。

下肢静脈瘤による皮膚炎を生じた方には過去に硬化療法や高位結紮が行われているケースがあります。このような場合には治療がやや複雑になることがあります。再発する上に後々の根治術が複雑になるのでやらないほうがよいと当院では考えています。ちなみに当院では全くやっていません。

 

3.皮膚炎症例や皮膚潰瘍症例に限れば明らかにレーザー手術がストリッピング術より優れている。

ストリッピング術は抜群の根治性を誇り、あらゆるタイプの静脈瘤に対応可能な素晴らしい手術です。ただし、痛いことと傷がつくことが欠点です。

痛みに関しては麻酔方法の工夫などでなんとか対応できますが、傷だけはなんともなりません。小さくすることは出来ますが、ゼロにはできません。

皮膚炎症例や潰瘍症例ではこの傷が大きな問題になります。下肢静脈瘤の影響によって皮膚に炎症が起き、正常な治癒力が障害されてかゆみで掻いた時に出来るちょっとした傷が治らなくなって潰瘍ができるわけです。そこにストリッピングのためにやむをえないとはいえ傷をつけると傷が潰瘍化することがままあります。また、高度な皮膚炎のためにガチガチに癒着したケースではそもそもストリッピングが不可能であることもあります。このような場合ではストリッピングの根治性が失われます。

レーザー手術では傷がつきません。点滴用の針をさして、その中にカテーテルを入れるだけなので、切り傷がつかないのです。したがって、穿刺場所を選ばずに伏在静脈の逆流範囲を完全に処理できるので根治性が失われません。

もう一つのレーザー手術のメリットは手術の時期を選ばないことです。従来のストリッピング術では圧迫療法で潰瘍をいったん治してから手術することが勧められていました。だいたいで3ヶ月程度はかかります。しかも、手術後にストリッピング術の傷が潰瘍化するともはやエンドレスです。

しかし、レーザー手術ではすぐに手術可能です。潰瘍があればすぐに手術をしてその後に圧迫療法を開始すればいいし、傷が潰瘍化することはありません。潰瘍の治りも圧倒的に早いようです。

潰瘍症例に対するレーザー手術の長期成績はこれから出てくると思われます。ただ、潰瘍のある患者は早く潰瘍を治して痛みを無くしてほしいわけですから、長期成績はともかくスピードに重点を置くべきと考えます。

 

4.レーザー手術にはもっと改善・発展の余地がある。

レーザー手術は下肢静脈瘤治療を身近なものにしてくれました。一方で、ストリッピング手術と比べて技術の習得が容易であるがゆえに、不十分な知識で手先の技術だけを習得していい加減な治療をしているクリニックや医師も見受けられます。先日の静脈学会ではこの問題が大きく取り上げられました。

血管外科医側の反省として、前述のように下肢静脈瘤の治療に手が回らなかったことがあります。破裂性腹部大動脈瘤や下肢壊疽の治療の合間にやらざるをえないのでやむをえないとはいえ、不適切な医師やクリニックが出現する余地を与えてしまったのは間違いありません。そのようなクリニックが不適切な治療を行うことは問題ですが、血管外科医の数が不足しているのは厳然たる事実であり、本来の専門家である血管外科医だけではここまでレーザー治療を一般化させて入院手術から日帰り手術への転換を図ることはできなかったと思われます。この問題は血管外科医側がよりよい治療をより多く行うことで全体のレベルを引き上げるしか解決方法はないと思われます。また、そのような医師やクリニックの存在を理由にレーザー治療の発展が阻害されてはなりません。レーザー治療にはまだまだ多くの可能性があり、そこに目を向けることの方が重要と思われます。そのような問題にとらわれて血管外科医側が杓子定規な治療や萎縮した医療を行えば、そのときこそ血管外科医が患者の信頼を失うのではないかと思います。

 

どうでしょうか。真面目に書いたのでやや専門用語が増えてしまいました。

今後もきちんとテーマや目的を持って、クリニックの存在が地域医療にとって意味のあるようなものにしていきたいと思います。

隠れ静脈瘤について

「隠れ静脈瘤」をちょくちょく経験します。

「隠れ静脈瘤」という病名は医学的にはありません。本当は静脈瘤なのに、患者側や一般総合医側の誤解によって見逃されている静脈瘤を便宜的にそのように呼んでいるだけです。

これを理解するには静脈瘤の手術適応について説明しないといけません。

静脈瘤の手術適応を一言でいうと「静脈圧亢進症状の有無」です。

実は見た目の血管の膨らみはそんなに重要ではないのです。見た目がどんなに酷くても静脈圧亢進症状がなければ保険を使って手術することはできないことになっています。逆に見た目の問題がなくても、皮膚炎を伴うようなひどい静脈圧亢進症状があれば手術することは保険で可能ですし、専門医は手術を強く勧めます。なぜならば、自然に良くなる事はないので、後で苦労する事が目に見えているからです。

「静脈圧亢進症状」が具体的にはなんなのか、ということをあえてここまで書かなかったのですが、ここに「隠れ静脈瘤」が生じる理由があります。要するに「静脈圧亢進症状」について一般の方はほとんど知らないのです。TVでやっているのは表面の分かりやすい血管の膨らみだけで、静脈瘤の病態生理についてはほとんど語っていません。残念ながら一般総合医も似たような感じです。正確で掘り下げた知識よりも、わかりやすさが優先される世の中ではしょうがないのかもしれません。

それでは「静脈圧亢進症状」を列挙してみましょう。

足のむくみ、だるさ

足のつり(特に早朝や夜間)

ずっと立っていた時や椅子に座っていた時の足のだるさ、じんじんする感じ

皮膚のかゆみ

皮膚の黒ずみ

傷が治らない

皮膚のえぐれ(潰瘍)

などです。

上の3つならば手術は「一応は」待てます。「一応は」というのは手術さえすればかなり楽になって取り返せるし、跡も残らないので手術が遅れても問題ないということです。一方で、この3つの症状を持つ患者の方が自覚症状の訴えが強い事が多く、手術を強く希望することが多いようです。だるさ、つり、むくみなどは他人にはなかなか分かってもらえないことによる心理的なものもあるかもしれません。

下の4つがある場合は早く手術した方がいいです。なぜならば、進行するし、一度ついた色はなかなか落ちないし、潰瘍にいったんなると治っても跡が残ります。上の3つの症状に比べて、こっちの方がはるかに重症なのに、なぜかこっちの方が手術を嫌がります。不思議なものです。

いわゆる隠れ静脈瘤で問題になるのは下の4つです。また、皮膚炎が重症化すると皮膚が厚くなってぼこぼこの血管がかえってわからなくなって治ったかのように錯覚する人もいます。これを見逃すと患者は大きな不利益を被る事になります。注意しなければなりません。

3月からの手術枠拡張について

3月1日から手術枠を増やします。これによって手術待ち期間は大幅に短縮されることが見込まれます。

手術枠の準備のためには数ヶ月を費やしました。手術法の改良、術後外来の最適化によって患者側に不利益がないようにした上で、スタッフの負担が極端に増えないようにしました。

 

また、従来は重症患者であっても手術待ちが生じていたのですが、増やした枠を重症患者のための優先枠として運用することで重症患者の場合には優先的に手術を受けられるようにしました。具体的に重症患者とは静脈性潰瘍の既往や活動性潰瘍がある患者(CEAP分類でC5以上)となります。不公平が生じないように重症の判断については医師が客観的に医学的判断を行います。「外来の順番が先だったから」「仕事の都合があるから」「とにかく早くやってほしい」というだけでは優先枠は使用しませんのでご了承ください。

 

ただし、現時点(2/21)で4月以降に手術を予定されている患者さんについては経過措置として空いている3月の優先枠を使用して前倒しするようにしたいと思います。伝達ミスによる混乱や医療ミスを予防するために電話での手術予約変更は行っていません。(書面ベースでの変更になります。)予約の上で外来を受診していただき、手術承諾書を再発行し、当日の予定をスタッフと確認してください。(従来とは時間が変更になります。)この経過措置については3月いっぱいまでを予定していますが、混乱が生じるような場合や優先枠が一杯になった場合には予告なく終了することがあることをご了承ください。

 

3月に手術を予定している患者さんも前倒し可能です。ただ、優先枠の空き具合によっては数日間から一週間の前倒しでしかないかもしれません。

 

手術枠をもっと増やすことや土曜日の手術枠の設定も検討しています。本当は重症なのに仕事が忙しくて平日は休めない人も手術を受けられるようにしてあげたいと思います。ただし、安全を最重視して段階的に行う予定です。

 

将来の患者さんのために、今いる患者さんと協力して移行期を乗り越えたいと思います。ご協力をお願いします。

 

暑さと血栓

めちゃくちゃ暑いですね。

あまりの暑さなので涼しいうちに通勤するように心がけています。

 

 

血栓の形成にはウィルヒョウの三要素 (Virchow’s triad)という以下の3つの大きな要因があると言われています。

1.血管内皮細胞の傷害 2.血流の緩慢 3.血液性状の変化

 

このうち、暑さで問題となるのは3つ目の血液性状の変化です。暑さで汗を大量にかくと脱水になります。

そうなると血液中の水分が減少して、血球成分が相対的に増加します。そうなると粘稠度の増加となります。

いわゆる血液がドロドロになるという状態です。(実際にはドロドロとまではなりませんが。)

 

これだけで血栓がいきなりできるということはありませんが、これに加えて、タバコや高脂血症(=1.血管内皮細胞の傷害)、長時間の正座や旅行(=2.血流の緩慢)が加わると血栓ができます。

 

予防方法は簡単です。水を飲めばいいだけです。常に500mlのペットボトルを持ち歩いてのどが乾いたら飲む、ただそれだけです。

これで脱水状態が改善して血栓がかなり予防できるのだからやらないと損です。

 

もう一つは暑い時間帯には家で涼んでいるということです。特に高齢の方はあえて暑い盛りに動く必要はないと思います。

当院でも高齢の方はなるべく夕方に予約を入れるようにしています。

 

静脈瘤の血管を焼いても大丈夫なの? その3

今回は下肢にある太い静脈についてです。

 

下肢の静脈には皮膚表面に分布する表在静脈と筋肉の奥深くを走行する深部静脈に大きく分けられます。表在静脈は皮膚表面を走っていて、皮膚の色が薄い人は透けて見えます。これに対して深部静脈は筋肉の奥深くを走っているので表面からは触れないし、見ることも出来ません。さらに表在静脈と深部静脈は無数の細い血管で交通しています。平行に走る縦の太い線の間を無数の横線がはしるようなあみだくじのような構造を想像してもらえるとよいと思います。

 

さて、この表在静脈と深部静脈の太さにはどれくらいの差があるのでしょうか?かなり個人差はありますが、直径でいうと3倍から5倍はあります。面積でいうと9倍から25倍です。例えれば、表在静脈は1車線の道路、深部静脈は9車線から25車線の道路ということになります。

 

下肢静脈瘤は表在静脈に出来ます。静脈瘤が出来ている表在静脈を焼き潰したり、切除したら、そこを流れている血液はどうなってしまうの?どこを流れるの?というのが一般の方には不思議でならないようです。

 

これは簡単なことで、表在静脈を流れていた血液は表在静脈と深部静脈を交通させている細い静脈を通って深部静脈に流れ込みます。もともと細い血管を流れている血流量ですから大したことはありません。深部静脈で受け止めることは十分に可能です。

 

1車線の道路が渋滞して排ガス問題がひどいからとその道路を潰しても、近くに25車線の道路があれば地域全体としては交通は維持されます。それと同じことです。

 

下肢静脈瘤の術前には必ず超音波検査をします。これは深部静脈が開存していることを確認して、表在静脈を焼いても大丈夫なことを確認しているのです。

クリニック概要

医院名 湘南平塚下肢静脈瘤クリニック
診療科目 内科・血管外科
住所 〒254-0043
神奈川県平塚市紅谷町14-20 FT共同ビル3F
TEL JR東海道・湘南新宿線「平塚駅」北口・西口より
徒歩3分
電話 0463-74-6694
休診日 日曜日、祭日、土曜日午後
診療時間 日・祝
9:00~
12:00
13:00~
18:00

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