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湘南平塚下肢静脈瘤クリニックブログ

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秋好院長ブログ

隠れ静脈瘤について

「隠れ静脈瘤」をちょくちょく経験します。

「隠れ静脈瘤」という病名は医学的にはありません。本当は静脈瘤なのに、患者側や一般総合医側の誤解によって見逃されている静脈瘤を便宜的にそのように呼んでいるだけです。

これを理解するには静脈瘤の手術適応について説明しないといけません。

静脈瘤の手術適応を一言でいうと「静脈圧亢進症状の有無」です。

実は見た目の血管の膨らみはそんなに重要ではないのです。見た目がどんなに酷くても静脈圧亢進症状がなければ保険を使って手術することはできないことになっています。逆に見た目の問題がなくても、皮膚炎を伴うようなひどい静脈圧亢進症状があれば手術することは保険で可能ですし、専門医は手術を強く勧めます。なぜならば、自然に良くなる事はないので、後で苦労する事が目に見えているからです。

「静脈圧亢進症状」が具体的にはなんなのか、ということをあえてここまで書かなかったのですが、ここに「隠れ静脈瘤」が生じる理由があります。要するに「静脈圧亢進症状」について一般の方はほとんど知らないのです。TVでやっているのは表面の分かりやすい血管の膨らみだけで、静脈瘤の病態生理についてはほとんど語っていません。残念ながら一般総合医も似たような感じです。正確で掘り下げた知識よりも、わかりやすさが優先される世の中ではしょうがないのかもしれません。

それでは「静脈圧亢進症状」を列挙してみましょう。

足のむくみ、だるさ

足のつり(特に早朝や夜間)

ずっと立っていた時や椅子に座っていた時の足のだるさ、じんじんする感じ

皮膚のかゆみ

皮膚の黒ずみ

傷が治らない

皮膚のえぐれ(潰瘍)

などです。

上の3つならば手術は「一応は」待てます。「一応は」というのは手術さえすればかなり楽になって取り返せるし、跡も残らないので手術が遅れても問題ないということです。一方で、この3つの症状を持つ患者の方が自覚症状の訴えが強い事が多く、手術を強く希望することが多いようです。だるさ、つり、むくみなどは他人にはなかなか分かってもらえないことによる心理的なものもあるかもしれません。

下の4つがある場合は早く手術した方がいいです。なぜならば、進行するし、一度ついた色はなかなか落ちないし、潰瘍にいったんなると治っても跡が残ります。上の3つの症状に比べて、こっちの方がはるかに重症なのに、なぜかこっちの方が手術を嫌がります。不思議なものです。

いわゆる隠れ静脈瘤で問題になるのは下の4つです。また、皮膚炎が重症化すると皮膚が厚くなってぼこぼこの血管がかえってわからなくなって治ったかのように錯覚する人もいます。これを見逃すと患者は大きな不利益を被る事になります。注意しなければなりません。

冷え症 その6

動脈・静脈・神経に異常が見つからない場合はどうすればいいのでしょうか?

これまでに述べてきた「異常」というのは検査で客観的にわかる異常です。
残念ながら現時点では極小の毛細血管や末梢神経を検査する手段はありません。
(厳密にいうと研究レベルでは存在しています。私自身もアメリカでレーザー顕微鏡での生体イメージングを研究していました。ただし、こういった技術の臨床応用はもう少し先のことだと思います。)

証明・検証の出来ないことや客観的に公平に議論出来ないことに拘るのでは物事は解決できません。
原因がわからないことの原因はわからないままにして、症状の改善を図ったほうが現実的です。
(もちろん、きちんと検査して診断をした上での話です。最初から対症療法というのは誤った考え方です。)

というわけで、ここからは漢方等の対症療法の出番です。
症状の変化に応じて、薬を変えたり、飲み方を変えたりして体にあう治療を見つけていきます。
また、生活習慣の工夫なども相談します。

早い人だと二週間ぐらいで改善するときもありますが、大体においては半年ぐらいはかかると思ってください。
それなりに時間もかかりますし、完全には良くなりませんが、多くの患者さんで症状がかなり改善するのも事実です。
まずはお試しで始めてみることをお勧めします。

冷え症 その4

血流低下が「ない」場合にはなにが考えられるのでしょうか?

一般に血流が悪いというと動脈血流(足に入ってくる血流)の低下を考えます。
では、「足から血流が抜けなくなる場合はどうなるの?」と思いませんか?

足から血流を抜くのは静脈ですので、この場合は静脈系の異常になります。

足の静脈系は大きくわけて2つに分かれます。
筋肉の奥深くを走る深部静脈系と皮膚のすぐ下を走る表在静脈系です。

深部静脈系の異常で代表的なものは深部静脈血栓症、表在静脈系の異常で代表的なものは下肢静脈瘤です。
(実際には動静脈瘻などもっと色々とありますが、それはひとまずはおいておきましょう。)

静脈系の異常では足は冷えません。しかし、「冷え症」で来院される患者さんのかなりの割合で静脈系に異常が見つかります。
静脈系に異常があると、下肢に血液がうっ滞(血液が足に溜まる)して、足が重い・だるい・じんじんするといったことが置きます。こういった症状を「冷える」と考えたり、表現する方が多いようです。
うっ滞がひどくなると皮膚炎を起こして皮膚が黒ずんでもきます。さらには潰瘍(皮膚がえぐれる)まで引き起こすこともあります。

当院でも下肢静脈瘤を何年も放置してうっ滞性潰瘍になってしまった方がいらっしゃっています。
下肢静脈瘤は命に支障はありませんが、皮膚炎や潰瘍になってしまうと生活の質ががくんと落ちます。
また、足がだるく・重くなるので、高齢者の杖歩行の原因となっていることがあります。

下肢静脈瘤の手術は随分と進歩してほぼ間違いなく外来で治せるようになりました。
手術時間も30分程度であり、傷跡も採血や点滴の跡に毛が生えた程度です。高齢者でも問題なく受けることが出来るようになりました。

なかには「下肢静脈瘤は死なない病気だから、治療する必要はない」と昔の知識で仰る方もいますが、それはもはや時代遅れの考え方かもしれません。
高齢者にとっては生死よりも軽い足で明日を快適に過ごすことの方が大事なのです。

冷え症 その3

冷え症を診察する上で最初に動脈血流の低下をチェックします。

動脈血流が低下すると下肢に新しい血液が供給されなくなるので、実際に下肢の温度は低下します。特に完全に血流がなくなった場合(重症虚血)には、足を触ると氷のように冷たくなります。

 

動脈血流が低下する原因としてはざっと以下のようなものが考えられます。

閉塞性動脈硬化症

下肢動脈塞栓症

Blue toe症候群

バージャー病

膝窩動脈外膜嚢胞

膝窩動脈捕捉症候群

膝窩動脈瘤

大動脈弁狭窄症

などなどです。ほとんどの患者さんは聞いたことがない病気ばかりだと思います。他の科の医師の多くも知らないと思います。

 

ほとんどの患者さんは「冷え症=血流低下」と思い込んでいますので、実際に血流低下があるかを確認することからスタートします。実際に血流低下があるような場合にはその原因を探ることと治療を開始します。なかには重症の血流低下があって、早期の手術が必要な患者さんもいるので、最初に血管外科で診断を受けるのが大事です。

 

では血流低下が「ない」場合はどうするのでしょうか?

冷え症 その2

「冷え症」とはなんでしょうか?

これは難しい質問です。特に我々のように西洋医学を系統的に学んだ者にとっては難しい。

 

西洋医学というのは科学による病気の解明をベースとして、病気の原因を解決する「論理的な」治療法です。まず最初に診断があって、初めて治療がスタートします。逆にいうと、診断がきちんとなされなければ、治療はスタートしません。経験的な診断や治療は戒められています。

 

これに対して東洋医学(漢方)ではかならずしも病気の解明が先決ではありません。病気の原因がわからなくても、症状に応じて治療をすぐに開始することが可能なのです。逆に病気の説明・解明という意味では、客観性を欠いており、非科学的といわざるを得ない。

 

冷え症は西洋医学と東洋医学の狭間にある病気の典型です。

患者には明らかに症状があるのに、原因がわからない、検査をしても客観的には体温は下がっていないので診断がつかない、治療をスタートできないのが悩みです。

 

真面目な医師であればあるほど治療をスタートできない、そして患者側のフラストレーションは溜まる、患者側が一生懸命に訴えてそれに医師が真面目に対応して調べるとさらに治療が遠のくという悪循環です。これは日本の医学部・行政が西洋医学を中心においているにも関わらず、日本の患者のマインドは何百年も続いた東洋医学に慣らされたままという構造的な問題でもあると思います。

 

ではどうすればいいのか?

まずは西洋医学の知識を用いて鑑別診断をしっかりとする。これは現代医療においては必須です。

手術が必要な病気や西洋医学の方がむいている病気を素早く診断・治療した上で、漠然とした「冷え症」に対して漢方を応用して対症療法を行って症状を改善する。

これは私の慶應義塾大学医学部血管外科の先輩であるとともに漢方医でもあられる新見正則先生の考え方にならったものです。医学においては病気(=わからないもの)の科学的解明が至上命題ですが、医療においてはわからないままでも症状が良くなればいいのです。医学と医療はイコールではない、という割り切りなのです。

 

次からは冷え症に必要な鑑別診断についてお話しますね。

 

クリニック概要

医院名 湘南平塚下肢静脈瘤クリニック
診療科目 内科・血管外科
住所 〒254-0043
神奈川県平塚市紅谷町14-20 FT共同ビル3F
TEL JR東海道・湘南新宿線「平塚駅」北口・西口より
徒歩3分
電話 0463-74-6694
休診日 日曜日、祭日、土曜日午後
診療時間 日・祝
9:00~
12:00
13:00~
18:00

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