秋好院長ブログ
手術見学
投稿日:2019年11月29日 カテゴリー:下肢静脈瘤について, 当院での治療例, 日記
今日は技術交流のための手術見学を受け入れました。これまでにも何回か引き受けたことがあります。
もちろん同じ血管外科医師ですし、患者様の事前了解は頂いています。(一般の方の見学は受け付けていません。)
病院、医院同士で技術交流のための見学は一般的で、そうやってよりよい治療が広がっていき、医療の地方格差が解消されていきます。
ビデオでいいじゃないか、という意見もあるかと思いますが、手術は肉体労働ですから手や腕の使い方なども見ますし、どのように道具が配置されているかなども重要です。そういうのはビデオには写っていません。私自身も飛行機で金沢や松山にまで伺ったこともありますし、偉い先生のカバン持ちでお邪魔したこともあります。そういった経験が今の医療に生かされています。
手術見学とは話が異なりますが、医学部を卒業したてのフレッシュマンの頃に当時のご高齢の患者様から「あんた、私の体でしっかり勉強しなさいよ」と言われたことを思い出しました。そういう方はたくさんいました。シミュレーターやビデオがない時代でしたので、本と患者さんから学ぶしかなかった時代です。新米だとわかっていても面子を立ててくれて、上司に怒鳴られた後にカーテンの陰でそっと慰めてくれたり、大部屋のおばちゃん達のアイドルになったりとか。よほど頼りなかったんですね、僕は。。。ほとんど毎日のように上司に怒られていましたが、病院に行くことが辛いと思ったことはなかったです。そうやって可愛がってくれるおじいちゃんやおばあちゃんに迷惑はかけられん、と頑張ったのを思い出しました。
ほとんどの方が鬼籍に入られていると思いますのでお礼することは叶わないのですが、今の姿をみたら少しは喜んでくれるかな、とふと思いました。
分院について
投稿日:2019年11月14日 カテゴリー:下肢静脈瘤について, 血管外科について
患者さんが集まってきて手術待ちが長くなると分院化の話が出てきます。遠方の患者さんから言われることもあります。
残念ですが、当院には分院はありませんし、分院化の計画もありません。名前が似ているクリニックはたくさんあるんですけどね。当院の名前は、患者さんがわかりやすいように、地名と病名を組み合わせただけなんで特に意味はありません(笑)。混同されて迷惑を被ったこともないことはないのですが、いまさら変更できないし、治療の質が名前で決まる訳でもないのでほっといてます。
いつもいつもラーメンの例えで恐縮なのですが、ラーメン屋さんはチェーン化すると味が落ちることがあります。
昔はもっと美味しかったのに、とか、昔はもっとチャーシューが厚切りだった、といったことも出てきます。
当たり前ですが、チェーン化するとラーメン作り以外のことにオーナーは忙殺されます。一番わかり易いのは従業員の労務管理です。スープや麺の出来なんて構ってられなくなります。また、様々な経験値の人が携わるようになるので、マニュアル化します。そうなるとラーメンの出来に外れはなくなるけど、「すごくおいしい」というのはなくなります。各自の判断で加減を調節することができないので、その日の天気やスープの出来にあわせることが出来なくなるのかなと想像しています。サービスでチャーシューを厚切りにすることも出来なくなるだろうし。
商売ならそれでいいと思いますが、医療となるとそうはいきません。誰だって自分を大事に診てほしいし、それぞれ体は違いますのでマニュアル化はできません。また、医療ではナースや医療事務は単なる従業員ではないです。それぞれが高度の専門知識や特殊技能をもっている専門職です。ナースや医療事務に対するハラスメントなどは絶対に許容されるべきではありませんし、当院では絶対に許しませんが、そういったことも分院化すると守りきれなくなります。
「目と手の届く範囲で、身の丈にあった商売が一番」とおっしゃったお寿司屋さんが京都にありましたが、まさにそのとおりだと思います。