秋好院長ブログ
やらなければ意味がない。
投稿日:2019年5月18日 カテゴリー:下肢静脈瘤について, 日記
当院は今月で開院二周年を迎えました。
Vision without execution is just hallucination.
(実行できない・しない夢は妄想でしかない)
今の自動車社会の礎を築いたフォード・モーターズの創設者であるヘンリー・フォードの言葉です。
ヘンリー・フォードは自動車そのものを発明したわけではありませんが、多くの中流の人々が購入できる初の自動車を開発・生産しました。車と静脈瘤が関係あるわけではなくて、「多くの中流の人々が購入できる」ということがポイントです。
当院は「より良質な医療をより身近に」という目標を開院当初に掲げました。
それこそが日本の誇る皆保険制度の本質だと思うからです。
当院の考えるより良質な医療とは、
#傷や痛みの少ない手術、短時間の手術
#より簡便で体への負担の少ない麻酔
#通院回数の少ない治療
です。
当院の考えるより身近な治療とは、
#入院が必要ない外来手術
#一人で歩いて来て、歩いて帰れるので付き添いの要らないこと
#東京までいく必要のないこと
です。
これらの具体的な目標を立て、術前検査と術後外来を最適化していきました。
その結果として、二年間で1000例を超える手術を事故なく終える事ができました。
開院前は誰もが反対しました。そんなのニーズない、そんな病気知らない、来ても最初だけ、キャリアの終わりなどと散々言われました。銀行にも言われましたから。
ヘンリー・フォードが車を身近なものにして中流階級の生活を向上させたように、遠いから、入院するのが嫌だからということで治療を諦めていた人、そもそも治療ができることを知らなかった人に啓蒙も含めて手を差し伸べる事が出来たと考えます。
どんなに偉そうなことを語っていても実行できなければただの大風呂敷です。大変だったけれど、二年間で目標に向かって一歩近付いたと考えます。
3年目以降は
#外来や手術の待ち期間を短縮すること
#スタッフの負担を軽減して、持続可能な体制を作ること
を目標としたいと思います。
スタート時からの四人のスタッフは変わっていません。この二年間を共に戦ってくれたスタッフを本当に誇りに思います。彼女たちがいなければ、1000人を超える人達は治療を受ける事ができなかったはずです。本当に感謝です。
予約のお願い <再掲>
投稿日:2019年5月18日 カテゴリー:お知らせ
当院では一人あたりの診療時間確保とスタッフの労働環境改善のために完全予約制を採用しています。
3系統のネット予約と電話予約が可能となっています。
当院の行う下肢静脈瘤診療や巻爪診療では多くの場合で30分前後の時間が必要です。下肢静脈瘤の初診の場合にはもっと時間がかかる場合があります。電話予約では無理なく診療時間がとれるように予約の調整を行っています。また、ネット予約の場合でもこちらから連絡して予約の調整をお願いすることがあります。他院の紹介状持参の場合でも事前に電話等でご一報をお願いします。状況をお伺いして最適な予約時間を案内いたします。
また、問診票の記入や保険証の確認など事務作業がございますので、診療予約時間の15分前には来院するようになさってください。
大多数の患者様ではごく当たり前のこととして守られているので問題ありません。
ただ、一部の患者様で割り込みや遅刻で他の患者様のご迷惑になってしまうケースが発生しています。このような場合、当院ではきちんと改めての予約をとって再来院をお願いするようにしています。
スタッフの多くも子供や家族のいる主婦です。終了後には自宅で家事があります。スタッフの家族に迷惑がかからないように、当院では終了時間は厳守しています。
終了時間直前の駆け込みや遅刻では再予約をお願いすることがございます。ご了承ください。
よりよい医療を実現するために当院は努力しています。相互に協力していくために予約と時間の厳守を改めてお願いいたします。
隠れ静脈瘤について
投稿日:2019年5月15日 カテゴリー:下肢静脈瘤について, 冷え症について, 血管外科について, 足のむくみ
「隠れ静脈瘤」をちょくちょく経験します。
「隠れ静脈瘤」という病名は医学的にはありません。本当は静脈瘤なのに、患者側や一般総合医側の誤解によって見逃されている静脈瘤を便宜的にそのように呼んでいるだけです。
これを理解するには静脈瘤の手術適応について説明しないといけません。
静脈瘤の手術適応を一言でいうと「静脈圧亢進症状の有無」です。
実は見た目の血管の膨らみはそんなに重要ではないのです。見た目がどんなに酷くても静脈圧亢進症状がなければ保険を使って手術することはできないことになっています。逆に見た目の問題がなくても、皮膚炎を伴うようなひどい静脈圧亢進症状があれば手術することは保険で可能ですし、専門医は手術を強く勧めます。なぜならば、自然に良くなる事はないので、後で苦労する事が目に見えているからです。
「静脈圧亢進症状」が具体的にはなんなのか、ということをあえてここまで書かなかったのですが、ここに「隠れ静脈瘤」が生じる理由があります。要するに「静脈圧亢進症状」について一般の方はほとんど知らないのです。TVでやっているのは表面の分かりやすい血管の膨らみだけで、静脈瘤の病態生理についてはほとんど語っていません。残念ながら一般総合医も似たような感じです。正確で掘り下げた知識よりも、わかりやすさが優先される世の中ではしょうがないのかもしれません。
それでは「静脈圧亢進症状」を列挙してみましょう。
足のむくみ、だるさ
足のつり(特に早朝や夜間)
ずっと立っていた時や椅子に座っていた時の足のだるさ、じんじんする感じ
皮膚のかゆみ
皮膚の黒ずみ
傷が治らない
皮膚のえぐれ(潰瘍)
などです。
上の3つならば手術は「一応は」待てます。「一応は」というのは手術さえすればかなり楽になって取り返せるし、跡も残らないので手術が遅れても問題ないということです。一方で、この3つの症状を持つ患者の方が自覚症状の訴えが強い事が多く、手術を強く希望することが多いようです。だるさ、つり、むくみなどは他人にはなかなか分かってもらえないことによる心理的なものもあるかもしれません。
下の4つがある場合は早く手術した方がいいです。なぜならば、進行するし、一度ついた色はなかなか落ちないし、潰瘍にいったんなると治っても跡が残ります。上の3つの症状に比べて、こっちの方がはるかに重症なのに、なぜかこっちの方が手術を嫌がります。不思議なものです。
いわゆる隠れ静脈瘤で問題になるのは下の4つです。また、皮膚炎が重症化すると皮膚が厚くなってぼこぼこの血管がかえってわからなくなって治ったかのように錯覚する人もいます。これを見逃すと患者は大きな不利益を被る事になります。注意しなければなりません。