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湘南平塚下肢静脈瘤クリニックブログ

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秋好院長ブログ

予約を絞る理由

当院は予約制への移行に舵をきっています。

 

その過程でネットや紙面など各種媒体による周知に加え、入り口にも告知を掲示しています。

また、手術法も改善を加えて、術後の再診回数が少なくなるように変更しています。

その結果として一日の診察人数は他クリニックの半分となり、予約制で一人あたりの時間が確保されます。

 

なぜ、このようにするのでしょうか?理由は以下の3つです。

#1 一人あたりの診察時間を確保して、医療の質の低下を防ぐ。

#2 手術時間の確保。手術待ち期間の短縮。

#3 診察の待ち時間の短縮、緊急対応できる余裕の確保。

 

それでは一つ一つ解説を加えていきます。

#1 一人あたりの診察時間を確保して、医療の質の低下を防ぐ。

これはとても単純なことです。一日に8時間診療として、100人の診察なら一人あたりの診察時間は単純計算で5分未満です。実際には休憩時間などもあるので、3分未満でしょう。これに対して、30人診療ならば医師との持ち時間は10分を超えます。医師がエコーをしながら、その場で画面を見せて所見を説明する分を含めればもっと長くなります。また、当院では医師だけでなく、手術の前には看護師から20分以上の説明と案内があります。医療者と接する時間がトータルで30分を超えるので、医療の質と安全は確保されるはずです。

 

#2 手術時間の確保。手術待ち期間の短縮。

当院が専門とする下肢静脈瘤は手術でしか治りません。お話をする時間を確保するのは大事ですが、話ばかりして手術する時間がないのでは本末転倒です。「すぐに診察してくれるけど、手術は半年待ち」では意味がないのです。そのためには、外来の予約人数を制限して、ゆっくりと手術をする時間を確保するべきです。また、手術が本番なのに、外来の合間や終了後に手術をするのもどうかと思います。当院では朝一番でスタッフ全員が元気なときにやります。大事なことは時間と心に余裕をもって臨む、というのは手術に限らず万事に共通の原則と思います。

 

#3 診察の待ち時間の短縮、緊急対応できる余裕の確保。

インターネットの口コミサイトを見ると、「話を聞いてくれない」と「待ち時間が長い」がどこのクリニックでも苦情として見受けられます。二時間待って五分の診療なら文句を言う気持ちもよくわかります。一方で、60人の予約でパンパンになっているところに予約外が20人も来たらどうしようもないのが現実です。予約外で来ている人のなかには、本当に具合が悪くて早く診る必要がある人もいるはずです。でもそれは拝見しないとわかりません。こうなってくると予約患者からは苦情も出ますし、具合の悪い人はさらに具合が悪くなり、殺伐としてきます。解決方法は一つしかありません。予約を最初から絞って時間に余裕をもたせるしかないのです。

 

きちんとした医療を行えば、患者が自然と集まるのは当然のことです。一方で、患者が集まれば集まるほど、患者一人あたりの医療の質は低下するリスクがあります。

医療機関としては、一人あたりの医療の質を落としてでも多くの患者に対応するか、あるいは、ある程度の制限を加えてでも一人あたりの医療の質を担保するべきかの選択を迫られます。

日本の医療は戦後の荒廃期や高度経済成長期に医療が非常に不足していた時代の影響を引きずっています。このため、多少は質が落ちても、とにかく数をこなすというのが「良心的」とされていました。

 

これはラーメン屋に例えるとよくわかります。200人分のスープしか作っていないところに、1000人も客が来たとします。スープを5倍に薄めて1000人に対応するか、あるいは味を落とさずに200杯だけ売り切ることにするかの選択です。スープを薄める店は、最初は評判が良くても、味が落ちたということでそのうちに潰れるでしょう。逆に薄めない店は食券制を導入して繁盛し続けるでしょう。食べられない800人のうちの何人かからは文句もでるし、中には激しいクレーマーもいるかもしれません。でも冷静に考えれば、その店のラーメンが食べられなければ、他の店で食べてもいいだけの話だし、たまには牛丼だって別にいいと思います。「ラーメンが食べられなくて餓死するかと思った、精神的ダメージを受けた、人権侵害だ、許せない、土下座しろ」というようなクレーマーは他のお客さんから白い目で見られるだけだし、そういう人はすでに他でも出禁になっているでしょう。一方で、どうしてもその店のラーメンを食べたくてきちんと並んでいる人のためには店主も腕によりをかけるでしょうし、おまけでチャーシュー一枚をつけてくれるかもしれません。

 

ラーメンも医療も需要と供給の原則に従うという意味では共通です。供給が需要に追いつかなければ、供給量に制限をかけるか、供給の質を下げるしかありません。ラーメンと医療で異なるのは医療では供給の質を落とすことは道義上許されないということです。このためには予約制への移行が必要なのです。

 

難しい話になってしまいました。(T_T)

 

非常に噛み砕いて話してしまえば、「他所様の家に行って自分の悩みを相談するのに、電話の一本ぐらい入れるの礼儀だし、大した手間でもない。電話一本で相手も準備が出来て、時間が確保されるんであればそっちの方がいい解決法が見つかるよね。」ということです。

 

足の痛みと静脈瘤 その3

さて、次は皮膚科です。皮膚科に相談するべきかは患者自身でもある程度わかります。

 

整形外科=筋肉・骨・神経の痛み。内側の痛みやしびれ。運動や姿勢変化によって影響。

皮膚科=皮膚の痛み=表面の痛み。運動自体とは関係ないが、汗によって影響。

 

もちろん例外はありますが、ざっと分類するとこんな感じです。

 

平塚市では下肢静脈瘤そのものを皮膚科が治療することは原則的にありません。

日本の医療は自由標榜制であり、医師免許さえあればどの病気でも診ることは法的に問題ありません。医師不足がもっと深刻で交通事情が劣悪だった時代に、「医師が足りないところでは専門外の治療をするのもやむをえない、専門医ではなくても患者よりはずっと知識があるし、中途半端であってもゼロよりましだろう」ということで許容されていたと想像されます。「あの先生はなんでも診てくれるから偉い」と、患者側にもその意識が強く残っているのはその名残と思います。

 

わかりやすく言ってしまえば、山の中の一軒しかない食堂ではとんかつ、ラーメン、もりそば、オムライスとなんでもできる方がありがたいけど、都会でたくさんのお店があるところでは、とんかつはとんかつ屋、ラーメンはラーメン屋で食べたほうが美味しいにきまってます。おじいちゃんがもりそば、孫がオムライスを一緒に食べられるファミレスにも存在価値がありますが、味は専門店には遠く及ばないのが現実です。

 

幸なことに平塚市はそのようなフェーズをすでに脱しています。総合診療医と専門医、専門医同士、病院と診療所というように連携が進んでいます。

下肢静脈瘤による皮膚炎であっても、手術は血管外科、皮膚炎は皮膚科とそれぞれの専門に応じて完全に分業がされています。また、軽症な皮膚炎はクリニックで外来治療、重症な皮膚炎は病院で入院治療と皮膚科内でも良好な連携がとれています。これは平塚市ではクリニック・総合病院ともに極めて優秀な皮膚科医集団に恵まれているという特殊事情のおかげで、良好な協力関係が成立しているためです。

 

さて、静脈瘤でなんで医療連携のめんどくさい話なのよ、ということですが、これは静脈瘤による皮膚炎・潰瘍のためです。重症の静脈瘤による皮膚炎や潰瘍のために皮膚科をずっと受診していることはよくあります。また、リベド血管炎などの珍しい病気の判別をつけるために血管外科から皮膚科に相談することもあります。潰瘍自体は別の皮膚科的要因なんだけれども、静脈瘤の存在のために治りが悪いような場合は皮膚科から血管外科に相談があります。

 

静脈瘤治療においては皮膚科と血管外科は相互に補完しあう関係であり、2つの科を並行して受診し続けることはよくあることです。そのため、よりよい治療のためには良好な連携が必要なのです。

 

クリニック概要

医院名 湘南平塚下肢静脈瘤クリニック
診療科目 内科・血管外科
住所 〒254-0043
神奈川県平塚市紅谷町14-20 FT共同ビル3F
TEL JR東海道・湘南新宿線「平塚駅」北口・西口より
徒歩3分
電話 0463-74-6694
休診日 日曜日、祭日、土曜日午後
診療時間 日・祝
9:00~
12:00
13:00~
18:00

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