湘南平塚下肢静脈瘤クリニックブログ

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秋好院長ブログ

イチローの引退

イチロー選手が引退しました。

 

イチロー選手の会見で印象に残ったのは、野球が楽しくてプロ野球選手になったけどプロ野球でレギュラーになってから野球が楽しいことはなかった、ということです。色々な状況で打席や守備に立たされるのに、常にヒットを要求される、常にスーパープレーを要求される、そのために準備を怠らない毎日というのは決して楽しいことではないと思います。

 

先日、友人の外科医に「下肢静脈瘤ばかり毎日やって楽しいですか?」と聞かれました。

これ、イチロー選手と全く同じ答えです。私も全く楽しくありません、残念ながら。

 

何千例、何万例と同じ病気を診ていたら、誰だって飽きます。数カ月先にまで手術の予定が入っており、いつでも100%成功を期待されるのは楽しい毎日ではありません。

 

しかし、仕事や職業というのは楽しさにお金を払ってもらっているわけではありません。苦労や成果に対して報酬が支払われるのですから、そのための努力やプレッシャーは当たり前なのです。仕事に対して新鮮さや楽しさを求めているようでは、他人様に技術を売る職人としての水準にそもそも達していないと思います。

 

嫌になるほど同じ仕事をやって、どんな時でもベストの結果を出して、それでもさらに向上を目指す。そして、自分の感情をコントロールして、自分の技術を幅広く提供して世の中を良くする。そこまでやって初めて「プロフェッショナル」と呼ばれるんだと思います。その仕事が野球であるか手術であるかラーメンであるかは小さな違いですし、その舞台が大リーグであるか平塚であるかということは本当にどうでもいいことです。

 

今日はそんなことも思いながら8件のレーザー手術をしました。もちろん、全例成功です。

自分はまだ世の中の役に立てる、いつかイチロー選手みたいになんの後悔もない引退を迎えられるようにがんばろうと思いました。

手術枠拡張と移行について

お陰様で手術枠拡張と移行が無事に完了しました。

皆様の協力で混乱もなくスムーズに移行を行うことができました。ご協力ありがとうございました。

 

現在、手術枠拡張の第二段階を準備中です。

おそらく、4月中には拡張枠の予約を開始できるのではないかと思います。

 

よろしくおねがいします。

3月からの手術枠拡張について

3月1日から手術枠を増やします。これによって手術待ち期間は大幅に短縮されることが見込まれます。

手術枠の準備のためには数ヶ月を費やしました。手術法の改良、術後外来の最適化によって患者側に不利益がないようにした上で、スタッフの負担が極端に増えないようにしました。

 

また、従来は重症患者であっても手術待ちが生じていたのですが、増やした枠を重症患者のための優先枠として運用することで重症患者の場合には優先的に手術を受けられるようにしました。具体的に重症患者とは静脈性潰瘍の既往や活動性潰瘍がある患者(CEAP分類でC5以上)となります。不公平が生じないように重症の判断については医師が客観的に医学的判断を行います。「外来の順番が先だったから」「仕事の都合があるから」「とにかく早くやってほしい」というだけでは優先枠は使用しませんのでご了承ください。

 

ただし、現時点(2/21)で4月以降に手術を予定されている患者さんについては経過措置として空いている3月の優先枠を使用して前倒しするようにしたいと思います。伝達ミスによる混乱や医療ミスを予防するために電話での手術予約変更は行っていません。(書面ベースでの変更になります。)予約の上で外来を受診していただき、手術承諾書を再発行し、当日の予定をスタッフと確認してください。(従来とは時間が変更になります。)この経過措置については3月いっぱいまでを予定していますが、混乱が生じるような場合や優先枠が一杯になった場合には予告なく終了することがあることをご了承ください。

 

3月に手術を予定している患者さんも前倒し可能です。ただ、優先枠の空き具合によっては数日間から一週間の前倒しでしかないかもしれません。

 

手術枠をもっと増やすことや土曜日の手術枠の設定も検討しています。本当は重症なのに仕事が忙しくて平日は休めない人も手術を受けられるようにしてあげたいと思います。ただし、安全を最重視して段階的に行う予定です。

 

将来の患者さんのために、今いる患者さんと協力して移行期を乗り越えたいと思います。ご協力をお願いします。

 

思い出のとんかつ

医学部卒業後に慶応義塾大学病院で一年間の勤務を経た後に最初の派遣先が総合太田病院でした。今は改築移転して太田記念病院となっています。

 

平日は22時前に仕事が終わることなど極稀にしかなく、土日も仕事でした。また、連日のように緊急手術や急変などで緊急コールがありました。一年間を通して休んだのは一週間あるかないかで、当時はブラック企業やパワハラという言葉もなく、それが当たり前でした。また、スマホなどもなく、ネットも整備されていなかったし、緊急時に備えて病院から30分以上かかるところへの外出は禁止されていたので、市内での外食だけが楽しみでした。

 

もとからとんかつは好きだったのですが、三枚橋のとんかつ屋の親父さんは会心の一撃みたいなとんかつを揚げてくれると「どうだ、うまいだろ」と声を掛けてくれました。また、いつもにこにこしている女将さんはとても優しくて、凹んでいるときには励みになりました。一人で行ってお腹いっぱい食べるのが楽しみでした。

離任してからはなかなか行く機会もなく、親父さんが亡くなられて代替わりしたと風の噂で聞きました。いろいろととんかつを食べたけれど、あれ以上のとんかつはなかった。先日、思い立って太田市まではるばる運転しました。

 

確かに代替わりして息子さんが揚げていました。親父さんは亡くなられたわけではなく、入院したときにピンチヒッターで息子さんが守っていただけで今もお元気とのこと、親父さんと女将さんは二年前までは現役でやってらしたとのことでした。もっと早く伺えばよかったと悔やまれました。

 

親父さんのとんかつは僕の思い出のなかで美化された味ですが、息子さんのとんかつはそれに劣らないものでした。息子さんのひとひねりを加えているとのことでしたが、なんの違和感もなく、僕は貪り食いました。

 

最近はチェーンの飲食店が多くなり、どこに行ってもおなじような味で、同じようなサービスです。それはそれで安心できるのですが、そこに感動はありません。

他人様に感動を与えるのは並大抵のことではなく、良かれとおもったことが裏目に出て怒りを買ったりすることもあります。

利益を生み出すための単純な手段(job)と考えれば感動を生み出すための試行錯誤は非効率的なリスクでしかなくマニュアル化で排除すべきです。しかし、常に向上を要求される専門的な職業(profession)に試行錯誤は欠かせません。また、先人の進歩や発見を踏まえた改善を次代に繋げて初めて天職(vocation)と言えると思います。

 

とんかつ食っただけでなに語ってんだよ、と突っ込まれそうですが、最後に見送ってくれた息子さんの女将さんそっくりの優しい立ち姿で「小僧の神様」を読んだときのような気分になったので日記として残しました。

 

 

 

下肢静脈瘤と高齢化社会

下肢静脈瘤と高齢化社会について考えることが多くなりました。

私が下肢静脈瘤の治療に関わるようになった18年前には今ほどは高齢者の下肢静脈瘤手術は多くなかった印象です。

また、同じ平塚市でも平塚市民病院で勤務していた二年前にはこんなに多くはなかったです。

 

勝手に考察を加えてみました。

 

1.手術が楽になった。

まず、第一の原因はこれです。従来のストリッピングはどうしても30分程度はかかりました。慣れていない外科医がやると1時間はかかってしまうし、傷跡も大きい上に出血量も嵩み、合併症のリスクも高かったです。また、たいていの場合には入院でした。手術を決断するにあたって、リスク(危険)とベネフィット(利益)を必ず比較するのですが、リスクが高い分だけ手術は控えられていました。これに対して、現在のレーザー治療はリスクは極小といえます。傷跡も殆ど無いし、体の負担もほとんどありません。手術時・手術後の痛みもあまりありません。そのため、ハードルが極端に下がったといえます。

 

2.長生きする分だけ静脈瘤が重症化するようになった。

下肢静脈瘤は自然に良くなることはほとんどありません。率直に言って、弾性ストッキング(着圧ストッキング)を履いても大して良くなりません。下肢静脈瘤は手術によってしか治らないと言って過言ではありません。じゃあ、昔はなぜ手術しなかったのでしょうか?それは単純な問題で、重症化する前に寿命を迎えることが前提だったからです。昔の平均寿命は60-70代でした。1960年の平均寿命は男性65.32歳、女性70.19歳です。昔は手術のリスクも高かったし、身も蓋もない言い方をしてしまえば多少悪くなっても寿命が解決してくれるというのが、コンセンサスだったと言えます。ところが、今はみんなが普通に80代まで生きます。(2014年の平均寿命は男性80.50歳、女性86.50歳)しかも、日帰り手術なんて簡単に出来るぐらいに元気です。長生きが前提となった現在の日本社会では重症化してから慌てて手術するよりも、体力に余裕があって簡単に治せる早期の段階で手術をする方が合理的とさえいえます。

 

3.手術するのに入院が必要なくなった。インターネットで情報を得ることができるようになった。

1.と2.はおそらくは多くの静脈瘤専門医(=血管外科医)が実感していることだと思います。しかし、これでは当院が経験した平塚市での二年間の変化は説明できません。平塚市でたったの二年間で超急速な高齢化が進んだという事実もありません。単純に日帰り手術が可能になったということとネットの発達のためだと思います。患者さんと話していて痛感するのは入院を極端に嫌がる人がかなりいるということです。「病院イコール入院」という思い込みがあると、病院に行くこと自体を嫌がります。クリニックで診療していると、びっくりするような重症皮膚炎の下肢静脈瘤を持つ患者さんに出会います。よくよく聞いてみると、かなりの確率で「入院になるのが嫌だったから病院を受診しなかった」という答えが返ってきます。また、以前は病院にもクリニックにも行かないために医療情報を得ることができなかったと思うのですが、そのような人たちもインターネットで医療情報にアクセス出来るようになりました。

 

高齢化社会と下肢静脈瘤について考察を加えてみました。自分にとって衝撃的だったのは3.で述べた「入院するかもしれないぐらいなら病院に行かない」という人たちの存在でした。なぜならば病院側で問題になっていたのは夜間のコンビニ受診や救急車の不適切使用による医療資源の浪費であり、病院で経験してきたこととは全く逆の事象だったからです。そういう意味では静脈瘤専門クリニックを開設することによって、そのような人たちに手を差し伸べることができたことはとても良かったと思います。

 

一方で、これは一時的な社会保障費上昇を招きます。だって、今まで治療を受けなかった人(=医療費を使わなかった人)が医療費を使うようになるから。

しかし、同じ手術なら入院での全身麻酔手術より日帰りでの局所麻酔手術の方がはるかに安く済みます。また、入院手術そのものを駆逐することによって地域の病床数を削減し、病床維持の経費を無くすことによって長期的には医療費を確実に減少させることができます。現実に当院が開院することによって、近隣の病院での入院での静脈瘤手術は激減し、延べ入院日数(=入院医療費)はかなり節約できているはずです。欧米においてはもっと大きな手術(開腹手術、腹腔鏡手術、人工関節手術など)も日帰りや一泊入院となっており、将来的にはもっと短期化が進むはずです。現在の日本の社会保障費は逼迫しており、いつかは受診制限なども行われるかもしれません。それに対して、医療者側が出来ることは、医療をより効率化することによって、患者から受診や治療の機会を奪ったりすることなく、医療レベルをむしろアップさせながら、医療費削減を図ることなのかなと考えています。一時的な医療費上昇はその過渡期における必要経費・投資なのかなと勝手に思っています。

 

こんなことを書いてしまうと病院や保険組合や厚生局などから目の敵にされそうですが、誰もが充実した医療を受けられるという世界的にも稀有なこの体制を次の世代にも引き継ぐことが我々の世代の使命なのかもしれません。国際的には、皆保険制度を持つ先進国であってもその内容には多くの制限があり、日本のようにガイドライン通りの治療が公的保険で受けられるとは限りません。というより、こんなに恵まれているのは日本だけです。自分自身も外国で生活し、日本で外国人相手にも診療していますので、これは間違いありません。この体制を維持するために医療側は医療レベルの充実のための努力を怠ってはいけないし、行政側にはそのための応援や投資をお願いしたいところです。また、自分自身も含めて患者側は自分たちの権利だけでなく、自分たちの子供や孫の世代にこの体制を引き継ぐために何が出来るかということを考えなくてはならないと思います。

クリニック概要

医院名 湘南平塚下肢静脈瘤クリニック
診療科目 内科・血管外科
住所 〒254-0043
神奈川県平塚市紅谷町14-20 FT共同ビル3F
TEL JR東海道・湘南新宿線「平塚駅」北口・西口より
徒歩3分
電話 0463-74-6694
休診日 日曜日、祭日、土曜日午後
診療時間 日・祝
9:00~
12:00
13:00~
18:00

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