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湘南平塚下肢静脈瘤クリニックブログ

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秋好院長ブログ

NHKチョイスシリーズ2 弾性ストッキングについて

さて、鉄は熱いうちに叩けということで連投です。今回は弾性ストッキングについてです。

結論から申し上げると「弾性ストッキング(別名 着圧ストッキング)は下肢静脈瘤の症状を抑制するのには有効であるが、全ては患者自身の努力次第。また、下肢静脈瘤そのものを治すことはできない」ということになります。

下肢静脈瘤がどうやって症状を引き起こすかというと、静脈弁の壊れた伏在静脈や不全穿通枝を介して血液が深部から表層に逆流することによって表層の下肢静脈の内圧が上昇し、微小循環障害や血液漏出を起こすことがメインのメカニズムです。(厳密にはこれ以外のメカニズムもあると推測されていますが、とりあえずは話を簡単にするためにこのメカニズムがメインと仮定します。)正確性を犠牲にして、わかりやすく一言でいうと、「膝下の血流が淀むため」となると思います。

弾性ストッキングの原理は「血流が淀むなら、絞り上げればいいじゃん」ということです。雑巾をしぼるのと同じように、外からきついストッキングで圧をかけることによって、膝下から血流を絞り出しているわけです。これはすごく有効で、下肢静脈瘤の症状をかなり緩和します。

ただし、欠点もあります。まず第一に、夏は暑くて履けない、履くと蒸れる・かぶれる、という問題です。日本の夏は厳しさを増しているので、20年前と比べてもこの問題は比重を増しているように感じます。二番目に、腕の力が弱くて履けないということです。現役世代や若い人にはピンとこないと思いますが、70代になると腕の筋力が低下するので弾性ストッキングを履くのが困難なのが現実です。これも、20年前と比べて高齢化によって状況が変わっているように感じます。

最大の問題は、「めんどくさい、金がかかるのに治らない」ということです。一部の例外を除いて、弾性ストッキングには保険が適応されません。従って、洗い替えや買い替えもすべて自己負担です。また、毎朝履くのもめんどくさいようです。にも関わらず、下肢静脈瘤そのものの根本的治療にはならず、あくまでも症状緩和でしかありません。

結果的に、どれくらいの人が1年以上継続して履けているかというと、実感としては1%以下です。湘南地域での静脈瘤診療を始めて9年になりますが、かかりつけ医・担当医に関わらず誰が薦めてもほとんど履けていないというのが実感です。どちらかというと、せっかく受診したのに弾性ストッキングで返されたということで、二度と受診しないと静脈瘤を放置し、足が真っ黒になったり、潰瘍になって当院を受診し、最初に弾性ストッキングを勧めた医師を恨むということが多いようです。夏が涼しい北海道やノルウェーやカナダだとまた話が違うのだと思います。

NHKということで、偏りがないような一般論を中心に放送すると、とにかく最初の治療は弾性ストッキングということになるんだと思います。が、そこは教科書と現実世界には大きな隔たりがあるように、土地柄や気候風土を考慮して判断していくのが望ましいと考えます。

クリニック概要

医院名 湘南平塚下肢静脈瘤クリニック
診療科目 内科・血管外科
住所 〒254-0043
神奈川県平塚市紅谷町14-20 FT共同ビル3F
TEL JR東海道・湘南新宿線「平塚駅」北口・西口より
徒歩3分
電話 0463-74-6694
休診日 日曜日、祭日、土曜日午後
診療時間 日・祝
9:00~
12:00
13:00~
18:00

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