秋好院長ブログ
血栓と静脈瘤
投稿日:2020年9月4日 カテゴリー:下肢静脈瘤について, 血管外科について
最近、静脈瘤内に血栓ができた人を多く拝見するようになりました。
酷暑とstay homeの影響と思われます。
血栓ができる要因として主に以下の3つが挙げられます。
1.血流の停滞
2.血液の性質の変化
3.血管壁の性質の変化
このうちstay homeによる運動不足は1に影響を与え、酷暑による脱水は2に影響を与えます。
予防法・対処法としては弾性ストッキングや足踏みなどで血流停滞の防止、飲水による脱水予防が効果的です。
適切な弾性ストッキングの購入は弾性ストッキングコンダクターの指導が必要ですが、通販サイトでの購入でも構いません。
サイズが多少違っていたとしても、履かないよりはマシです。
飲水量としてはペットボトル一本を常に持ち歩くようにして、汗をかいたときや喉が乾いた時に適宜飲むようにしましょう。
これも正確には体格や心機能などによって必要量が変わるのですが、飲まないよりはマシです。また、心不全や腎不全などで飲水制限を主治医に指示されている場合は主治医に相談しましょう。
血栓ができた時の症状は硬いしこり、激痛、足の腫れが主です。そのような場合には血管外科を受診して相談しましょう。
すぐに手術する必要がなくても、今後のことを考えると手術した方がいい場合もあります。
通勤時の足のだるさと下肢静脈瘤
投稿日:2020年8月21日 カテゴリー:下肢静脈瘤について, 血管外科について
下肢静脈瘤は高齢女性に多い病気であるのは事実ですが、現役世代の男性でもなることは多いです。
その際に問題となる症状は通勤時の足のだるさです。
現役世代の男性は筋力を保っていますので、下腿の筋肉ポンプは正常に機能します。
ただし、通勤中は立位や座位でじっとしているため、筋肉ポンプは作動しません。このため、通勤中は足のだるさが出やすいと考えられます。
帰宅時には特にこの症状が辛くなるようです。これは静脈瘤に共通した症状で、夕方になると足のだるさ、重さ、むくみが強くなります。
対処方法としては以下の2つが考えられます。
1.通勤時の弾性ストッキング着用
筋肉ポンプの働きをサポートするためのものです。ハイソックスタイプで十分です。コットンの黒色やネイビーを履けばロングホーズ靴下と見分けがつきませんので、スーツ着用時でも問題はないと思います。
とりあえずの症状緩和や進行抑制には有効と思われます。
2.レーザー手術
弾性ストッキングは簡便な対処法ですが、あくまでも症状緩和と進行抑制であり、原因の解決には全くなりません。
完全に解決するためにはいつかは手術が必要になると思います。その場合はレーザー手術が現実的です。
15分程度の日帰り手術で翌日から仕事可能、術後の通院は二回のみですので、現役世代でも問題ありません。
仕事で忙しいとは思いますが、いつまでも様子を見ているのは賢明ではないと思います。
当院では潰瘍症例や重症皮膚炎症例を多く治療していますが、仕事が忙しくて放置してしまっていたということが多いように感じます。
健康第一はもちろんですが、潰瘍になってしまうと治療期間も長期化しますので仕事にも影響してきます。
足のだるさ程度であれば、たいていの場合はあっさりと治療が終了してしまうので、生活にはそれほどの支障はないようです。
現在の高齢者で重症皮膚炎や潰瘍例が多いのは、なかなか休めなかった時代背景もあると思います。
同じことを繰り返さないためにも早めに治療して潰瘍にはならないようにしてほしいと思います。
お盆期間の診察について
投稿日:2020年7月25日 カテゴリー:お知らせ, 下肢静脈瘤について
今年はお盆期間も診察と手術を行います。
現役世代の方でお盆期間に手術を行いたい方は早めの受診をお勧めします。おそらくは手術枠が早めに埋まってしまうと思います。
当院は子育て中の女性が多いので、夏休み期間中は家の子どもたちの面倒をみることを優先にしています。
しかし、今年はコロナ休校の影響で学校の夏休みが短縮されているため、休みをとっても意味がないという結論に至りました。
8/10山の日、8/11火曜日休診は暦通りです。8/12-8/15は診察と手術を行っています。
stay home中の足のむくみについて
投稿日:2020年7月18日 カテゴリー:お知らせ, 下肢静脈瘤について, 足のむくみ
Stay home期間中の足のむくみのために受診する患者さんが増えています。
大別すると理由は以下の2つです。
1.運動不足によるもの
足の静脈の血液は運動時に骨格筋が収縮・弛緩してローラーポンプのように働くことによって心臓に向かって流れます。stay home中は運動が足りなくなるうえに、椅子に座って足を下ろしている時間が長くなるので、足の静脈の血液の流れが悪くなって足がむくみます。
2.体重増加によるもの
足の静脈の血液はお腹の静脈を通って心臓にまで戻ります。運動不足で体重が増えると、内臓脂肪が増えるのでお腹に血液が入っていくのに抵抗が高くなり、足の静脈の血液の流れが悪くなって足がむくみます。
教科書に書いてあるような根本的な解決方法は自宅で運動、自己節制ですが、言うは易しでそんなに簡単なことではありません。
ゴキブリ体操というのを紹介している本もありますが、ゴキブリ体操していたら家事はできません。
現実的な解決方法としては弾性ストッキング(着圧ストッキング)着用となります。
まずは弱圧のハイソックスタイプでよいので、アマゾンや薬局で買ってみて履いてみることを勧めます。
素材としてはマイクロファイバーやコットンがかぶれが少なくておすすめです。どうしてもわからない、医療機関で購入する方が安心という方は予約をとって受診してください。当院の看護師は弾性ストッキングコンダクター有資格者であり、弾性ストッキングについて専門的な知識を持っています。
ストッキングを履いてもよくならない、ストッキングを履いている時はいいけど脱いだ後は足がだるくてたまらない、というような場合には深部静脈血栓症や下肢静脈瘤が疑われます。そのような場合には受診することをお勧めします。検査や専門的な治療が必要になります。
オンライン診療の感想
投稿日:2020年6月11日 カテゴリー:お知らせ, 下肢静脈瘤について
現時点でのオンライン診療の感想を述べたいと思います。
結論を先に言えば、こんなにいいものはない、というのが率直な感想です。
オンライン診療の利点
-不要な来院、移動を減らせる。予約制を徹底できる。
-医療偏在を緩和できる。地方在住者も専門医のコンサルトを受けることができる。
-時間を有効活用できる。現役世代も仕事を休まずに相談可能。
オンライン診療の欠点
-手術や処置はできない。
-会計の問題。
-患者側リテラシーに大きく左右される。
会計システムの導入など当院のオンライン診療にもまだまだ課題はあります。
タブレット端末がある、プライマリーケアや処方だけ、ということであればオンライン診療の方がはるかに効率的なのは間違いありません。
クレジットカードや電子マネーがもっと一般化し、マイナンバーなどともタグ付けができるになればデメリットをメリットが大きく上回るようになります。
現在はコロナ対策としての時限的な措置ですが、もっと継続して一般化してほしいです。