秋好院長ブログ
大伏在静脈と小伏在静脈
投稿日:2018年7月27日 カテゴリー:お知らせ, 下肢静脈瘤について
静脈瘤の原因となる静脈には大伏在静脈と小伏在静脈があります。
外来で患者さんに説明する際によく聞かれますので、今回はメモ代わりにこれについてまとめます。
(他にも不全穿通枝がありますが、これはかなり難しい話になるので、ひとまずはおいておきます。)
大伏在静脈は足首の内側から走行して下肢の内側をずっと登っていって、足の付け根で大腿静脈という太い静脈に流れ込みます。
これに対して、小伏在静脈は足首の外側からふくらはぎの後ろ側に回り込んで、膝の裏側で膝窩静脈という太い静脈に流れ込みます。
大伏在静脈は下肢全長の長さなので「大」、小伏在静脈はふくらはぎの長さだけなので「小」となっているわけです。
手術の観点からいうと、大伏在静脈は仰向けでの手術になります。これに対して、小伏在静脈はうつ伏せでの手術になります。また、大伏在静脈の方が長いので手術時間は長くなりがちです。小伏在静脈の手術だとストレートな形状のものだと5分程度で終了します。(もちろん程度によります。)
一方で、小伏在静脈から生じた静脈瘤の方が足がだるい、重い、つるという症状が強く出る印象です。理由はわかっていません。
このため、小伏在静脈から生じた静脈瘤で症状が強い場合には手術したほうがいいと勧めています。5分程度の手術で症状がよくなるなら、メリットがデメリットを大きく上回るので、手術を止める理由がないです。
もう一つ言うと、静脈瘤全体のうち大伏在静脈からの静脈瘤が8割から9割を占めます。小伏在静脈は2割程度の印象です。このため、専門医以外のドクターは小伏在静脈からも静脈瘤を生じることを「知らない」ことがあります。また、「小」という言葉の印象に騙されて、小伏在静脈からの静脈瘤は大したことないから手術する必要がないとすら思っているドクターも残念ながらいます。
原因不明の足のだるさが治らない、マッサージをしても足が軽くならないといったようなケースでは試しに調べてみてもいいかもしれませんね。