秋好院長ブログ
下肢静脈瘤のレーザー治療はどんなことをするのか?
投稿日:2018年4月6日 カテゴリー:下肢静脈瘤について
桜も咲いてクリニックも繁忙期に入りました。温かくなるとスカートや半ズボンで足を露出する機会が増えるので問い合わせが増えるうえに、静脈瘤による皮膚炎のかゆみがひどくなるので紹介も増えます。
さて、今回はレーザー治療はどんなことをするのかという話です。この質問は下肢静脈瘤の患者さんはもちろんそうでない患者さんからも受けます。恐らく、1000回以上は答えています。もっとかもしれない。。というわけでここに簡単にまとめたいと思います。ただし、最初にお断りしておきますが、これはあくまでも一般的な下肢静脈瘤のケースであり、再発や特殊なケースはこの通りではありません。
最初に2ミリ弱前後の針を刺してレーザーカテーテルを血管内に挿入します。2ミリ弱の針といえど麻酔なしでは痛いので、この針を刺す前にもっと細い針(1ミリ以下)を用いて局所麻酔をします。この時に注射と同じ痛みでチクリとします。
カテーテルを血管内に入れてちょうどいい場所に調整します。カテーテルは先端部分からレーザーが出て発熱するようになっており、スイッチを入れた時には先端部の温度は1200度前後に達します。このカテーテルをゆっくり引いていって下肢静脈瘤の原因となっている血管(伏在静脈)を焼き潰すわけです。1200度ですから麻酔をしなければ当然痛いです。従って、焼く予定の血管の周りに薄めた局所麻酔薬をたくさん注入します。この時に針を刺すチクッとした痛みが何回かします。また、麻酔薬が広がる時に足が腫れるような感じがします。しかし、麻酔薬を注入しているわけですから、麻酔薬が効いてこの痛みや腫れる感じはすぐに治まります。
麻酔薬が効いたあとにレーザーのスイッチを入れて血管を焼き始めます。この時には何も痛みは感じないはずです。ごく稀に麻酔薬のムラなどで痛みを感じる時がありますが、麻酔薬を追加すればすぐに治まります。
静脈瘤の原因となっている血管を全長焼き終えたら一段落です。この段階までの所要時間はだいたいで片足で10分以内です。
比較的軽度の静脈瘤の方ならこれで終了になります。また、足のだるさだけならこれだけである程度は解決します。高齢者で足のだるさだけが気になる、見た目は気にならないという方はこの時点で手術終了にします。
ふくらはぎや太もものクネクネとした血管が気になる方は引き続いて針穴からフックで巻き取ったり、レーザーで焼きます。表面のクネクネ血管をレーザーで焼く方法は当院で主に使用している細径ファイバーのみで可能です。この場合、傷跡は殆ど残らないし、内出血もほとんどありません。レーザー法と巻き取り法にはそれぞれに一長一短があり、どちらの方法を選ぶかは患者さんの状況とクネクネ血管の程度によってこちらで選んでいます。クネクネ血管の処理にかかる時間はその程度によって大きく異なります。5分程度で終わる人もいれば30分も掛かる人もいます。ほとんどは10分程度です。
これで手術終了です。このあとは包帯を巻いて、ストッキングを履いて、一休みして帰宅です。バスや電車で来て、そのままバスや電車で帰っていきます。お昼ご飯も普通に食べていいです。階段も上って構いません。ただし、自動車の運転と自転車だけは翌日の診察までは控えてもらってます。万が一にも事故を起こした場合には責任が負えないからです。
これからの手術を検討する人、手術を受けた後で知り合いに説明したい人の参考になれば幸いです。
ただし、最初に申し上げましたが、静脈瘤の程度や形状によってはこの通りではないことがありますので、診察してから大体の見込みを伝えるようにしています。