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湘南平塚下肢静脈瘤クリニックブログ

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秋好院長ブログ

静脈瘤の血管を焼いても大丈夫なの? その1

表題は下肢静脈瘤の手術を考えている患者さんの多くから聞かれる質問です。

結論から言えば、大丈夫です。問題ありません。

 

以前にも述べたように下肢静脈瘤の本態は伏在静脈の逆流です。伏在静脈が逆流して足に溜まった血液が逃げ場を求めて皮膚表面の血管に流れ込んで、血管が膨らむことによって外からも見えるようになります。

下肢静脈瘤の手術では表面の血管も処理しますが、この伏在静脈を焼いたり(レーザー手術)、抜いたり(ストリッピング術)することによって大元を絶ちます。この伏在静脈を無くしてしまうことに一般の方は不安を覚えるようです。「伏在静脈を流れていた血液はどうなるの?」と思うようです。

 

これは全く問題ありません。そのために事前に超音波検査をすることが決められています。

これは下肢静脈瘤の成り立ちから考えるとわかりやすいです。きちんと書くと長くなるのでその理由はその2,その3で述べます。

予約のススメ

下肢静脈瘤で初診の際には予約をとってから来院することをお勧めしています。

 

下肢静脈瘤の外来では見て、触って、それから必要な検査を行っていきます。また、病気の説明も行いますし、手術を希望される方には手術の説明も行っています。

潰瘍などが出来ている患者さんには処置も行いますのでもっと時間がかかります。きちんと診察してお話をしたら軽く一時間はかかります。

 

このため、初診・再診に関わらず、予約の時点である程度の「交通整理」を行っています。時間がかかる患者さんと時間がかからない患者さんの診察予約を組み合わせてなるべく全体のバランスがとれるようにしているわけです。

 

予約の方法は以下の3つです。お好みの方法で構いません。

1.電話で予約。電話でお話を伺いながら予約を取れるので、不安がある方やお時間のある方はこちらがよいと思います。ただし、クリニックがオープンしている時間にしか予約出来ないのが欠点です。

2.インターネット予約。ネットから直接予約がとれます。24時間予約可能です。ネット予約には2系統(EPARKと非EPARK)あります。EPARKの方が直接に診察枠を予約出来るのでやや楽ですが、どちらでも構いません。ネット予約はとても楽なのですが、高齢の方は慣れなくて厳しいかもしれません。その場合にはご家族の方が代わりに予約をとってあげた方がいいと思います。

3.来院して受付で予約。対面コミュニケーションにこだわる方は来院して受付で予約も可能です。

 

一方で、当院は完全予約制にはしていません。急患や不安が強い方は直接来院して頂いて結構です。

ただし、午前中は手術に集中するために、明らかに医学的緊急性が高い場合を除いて、手術が優先です。また、医学的に緊急性が高くないと判断した場合は予約患者を優先しますので待ち時間が出来てしまうことをご了承ください。

下肢静脈瘤のレーザー治療はどんなことをするのか?

桜も咲いてクリニックも繁忙期に入りました。温かくなるとスカートや半ズボンで足を露出する機会が増えるので問い合わせが増えるうえに、静脈瘤による皮膚炎のかゆみがひどくなるので紹介も増えます。

 

さて、今回はレーザー治療はどんなことをするのかという話です。この質問は下肢静脈瘤の患者さんはもちろんそうでない患者さんからも受けます。恐らく、1000回以上は答えています。もっとかもしれない。。というわけでここに簡単にまとめたいと思います。ただし、最初にお断りしておきますが、これはあくまでも一般的な下肢静脈瘤のケースであり、再発や特殊なケースはこの通りではありません。

 

最初に2ミリ弱前後の針を刺してレーザーカテーテルを血管内に挿入します。2ミリ弱の針といえど麻酔なしでは痛いので、この針を刺す前にもっと細い針(1ミリ以下)を用いて局所麻酔をします。この時に注射と同じ痛みでチクリとします。

 

カテーテルを血管内に入れてちょうどいい場所に調整します。カテーテルは先端部分からレーザーが出て発熱するようになっており、スイッチを入れた時には先端部の温度は1200度前後に達します。このカテーテルをゆっくり引いていって下肢静脈瘤の原因となっている血管(伏在静脈)を焼き潰すわけです。1200度ですから麻酔をしなければ当然痛いです。従って、焼く予定の血管の周りに薄めた局所麻酔薬をたくさん注入します。この時に針を刺すチクッとした痛みが何回かします。また、麻酔薬が広がる時に足が腫れるような感じがします。しかし、麻酔薬を注入しているわけですから、麻酔薬が効いてこの痛みや腫れる感じはすぐに治まります。

 

麻酔薬が効いたあとにレーザーのスイッチを入れて血管を焼き始めます。この時には何も痛みは感じないはずです。ごく稀に麻酔薬のムラなどで痛みを感じる時がありますが、麻酔薬を追加すればすぐに治まります。

 

静脈瘤の原因となっている血管を全長焼き終えたら一段落です。この段階までの所要時間はだいたいで片足で10分以内です。

比較的軽度の静脈瘤の方ならこれで終了になります。また、足のだるさだけならこれだけである程度は解決します。高齢者で足のだるさだけが気になる、見た目は気にならないという方はこの時点で手術終了にします。

 

ふくらはぎや太もものクネクネとした血管が気になる方は引き続いて針穴からフックで巻き取ったり、レーザーで焼きます。表面のクネクネ血管をレーザーで焼く方法は当院で主に使用している細径ファイバーのみで可能です。この場合、傷跡は殆ど残らないし、内出血もほとんどありません。レーザー法と巻き取り法にはそれぞれに一長一短があり、どちらの方法を選ぶかは患者さんの状況とクネクネ血管の程度によってこちらで選んでいます。クネクネ血管の処理にかかる時間はその程度によって大きく異なります。5分程度で終わる人もいれば30分も掛かる人もいます。ほとんどは10分程度です。

 

これで手術終了です。このあとは包帯を巻いて、ストッキングを履いて、一休みして帰宅です。バスや電車で来て、そのままバスや電車で帰っていきます。お昼ご飯も普通に食べていいです。階段も上って構いません。ただし、自動車の運転と自転車だけは翌日の診察までは控えてもらってます。万が一にも事故を起こした場合には責任が負えないからです。

 

これからの手術を検討する人、手術を受けた後で知り合いに説明したい人の参考になれば幸いです。

ただし、最初に申し上げましたが、静脈瘤の程度や形状によってはこの通りではないことがありますので、診察してから大体の見込みを伝えるようにしています。

 

 

 

足がむくむ、つる、張るという症状について

今回はメール等でお問い合わせがあったことについて述べたいと思います。

 

足がむくむ、つる、張るという症状には様々な原因がありますが、下肢静脈瘤が原因のことがあります。

下肢静脈瘤の本態は伏在静脈や不全穿通枝の逆流による静脈圧上昇です。静脈圧が上昇するとその逃げ道をもとめて、皮膚表面の血流が増加し、表在静脈が拡張して瘤(こぶ)状になります。表在静脈の瘤状拡張はあくまでも二次的なものです。一般の方は外からしか見えないので表面の瘤があるかないかで下肢静脈瘤を判定しがちですが、それは誤りです。専門医はその奥にある伏在静脈や不全穿通枝の存在を超音波検査やCTなどで診断しています。

 

初期の静脈瘤では伏在静脈や不全穿通枝が逆流して静脈圧は上昇していますが、表在血管は拡張していないときもあります。このような時は漠然とした足がむくむ、つる、張るという症状のみが存在しています。また、逆に重症の下肢静脈瘤では皮膚表面の血管拡張がわからなくなることもあります。これは皮膚の炎症が進んで足が腫れあがってマスクされてしまうためです。

 

もちろん上記の症状がすべて下肢静脈瘤のためとは限りません。深部静脈血栓症のときもあるし、腰部脊柱管狭窄症のときもあるし、血栓塞栓症のときもあるし、閉塞性動脈硬化症のときもあるし、膝窩動脈捕捉症候群のときもあるし、膝窩動脈外膜嚢胞のときもあるし、バージャー病のときもあります。肥満や冷え症のときもあります。さらには複数のものが合併している時もあります。血管外科を長くやっているとそれなりに色々なことに遭遇してきているので、拝見しないとなんとも言えないのが率直なところです。

 

次に、仮に初期の下肢静脈瘤だったとして治療の話に移ります。

明らかな伏在静脈や不全穿通枝の逆流が確認され、症状が日常生活に影響を及ぼしている場合には手術を考慮します。多くの場合でレーザー手術で問題ありません。また、初期の場合は手術も短時間で済むことが多いです。うっ滞性皮膚炎などに重症化してから下肢静脈瘤手術を受けに来る方が多いのですが、本当は初期で手術をした方がやる方も受ける方も楽です。

伏在静脈や不全穿通枝の逆流がごく軽度の場合や逆流はあるんだけれど何らかの事情で手術を受けられない場合には手術以外の手段で生活に支障をきたさない対策法を探ります。そのような対策法で満足出来ない場合には改めて手術の可能性を探ることになると思います。

 

伏在静脈や不全穿通枝の逆流が全く無いときは、まずは他の原因を探るのが妥当だと思います。さきほど列挙した別の病気はまた別の詳しい検査が必要になります。これはまったくもってケースバイケースですので、ここではとても書ききれないので割愛します。

 

ざっとさわりを述べるとこんな感じです。こういったことを患者さんが部屋に入った瞬間から観察しながら判断しているわけです。

 

下肢静脈瘤による足のかゆみ、黒ずみ

今回は下肢静脈瘤による足のかゆみと黒ずみについて解説です。

 

下肢静脈瘤になると足が痒くなることがあります。痒くなった場合には手術を勧めています。

痒くて掻き壊すとそこが潰瘍化(皮膚がえぐれた状態になること)することがあるからです。

手術をした後はかゆみがすっきり治まることが多いです。

 

では、なぜかゆくなるのでしょうか?

 

静脈瘤が出来ると静脈圧が高くなって赤血球が血管の外に滲み出します。

血管の外に滲み出た赤血球は壊れてしまいます。そうすると赤血球の中に含まれる鉄分(ヘモグロビン)が皮膚に沈着してしまうのです。

この鉄分を貪食するために白血球が寄ってきて炎症反応を起こします。白血球は炎症を引き起こしますので、かゆくなるのです。

 

治りかけの傷が痒くなりますよね。あれと同じ痒さです。

 

また、かゆみがある患者は皮膚の色が黒ずんでいることがあります。(色素沈着)

あれは沈着した鉄分の色なのです。鉄さびの色と同じだと思ってもらえるとわかりやすいと思います。

この色は一度つくとなかなか落ちません。これも鉄さびがなかなか落ちないのと同じだと思ってもらうとわかりやすいと思います。

 

残念ですが、黒ずみはいったんつくと手術をしてもなかなか落ちないです。落ちないわけではありませんが、数年はかかります。長い人だと10年くらいはかかります。

じゃあ、手術してもしょうがないじゃないか、と思われるかもしれません。しかし、手術をしないとどんどん色がついていく、痒くなる、潰瘍になるので治るのに非常に時間がかかるようになる上に、ほぼ間違いなく跡が残ります。

 

以上のことを考えると黒ずみやかゆみがある患者は先読みして手術をしたほうがいいと私は思います。

クリニック概要

医院名 湘南平塚下肢静脈瘤クリニック
診療科目 内科・血管外科
住所 〒254-0043
神奈川県平塚市紅谷町14-20 FT共同ビル3F
TEL JR東海道・湘南新宿線「平塚駅」北口・西口より
徒歩3分
電話 0463-74-6694
休診日 日曜日、祭日、土曜日午後
診療時間 日・祝
9:00~
12:00
13:00~
18:00

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