秋好院長ブログ
冷え症 その3
投稿日:2017年7月27日 カテゴリー:お知らせ, 冷え症について, 閉塞性動脈硬化症について
冷え症を診察する上で最初に動脈血流の低下をチェックします。
動脈血流が低下すると下肢に新しい血液が供給されなくなるので、実際に下肢の温度は低下します。特に完全に血流がなくなった場合(重症虚血)には、足を触ると氷のように冷たくなります。
動脈血流が低下する原因としてはざっと以下のようなものが考えられます。
閉塞性動脈硬化症
下肢動脈塞栓症
Blue toe症候群
バージャー病
膝窩動脈外膜嚢胞
膝窩動脈捕捉症候群
膝窩動脈瘤
大動脈弁狭窄症
などなどです。ほとんどの患者さんは聞いたことがない病気ばかりだと思います。他の科の医師の多くも知らないと思います。
ほとんどの患者さんは「冷え症=血流低下」と思い込んでいますので、実際に血流低下があるかを確認することからスタートします。実際に血流低下があるような場合にはその原因を探ることと治療を開始します。なかには重症の血流低下があって、早期の手術が必要な患者さんもいるので、最初に血管外科で診断を受けるのが大事です。
では血流低下が「ない」場合はどうするのでしょうか?
下肢静脈瘤と閉塞性動脈硬化症を合併した例
投稿日:2017年6月12日 カテゴリー:下肢静脈瘤について, 当院での治療例, 閉塞性動脈硬化症について
この患者様は足が痛い、歩けない、血管が膨らんでいるとのことでいらっしゃいました。病院でも下肢静脈瘤ということで血管外科にまわってきました。
お話を伺うとすぐに普通の静脈瘤ではないということが分かりました。動脈の検査も並行して行い、閉塞性動脈硬化症と下肢静脈瘤の合併とわかりました。
まずは閉塞性動脈硬化症の画像所見です。
黄色の矢印の箇所で外腸骨動脈が高度狭窄しています。また、右浅大腿動脈(赤い矢印を結ぶ区間)が閉塞しています。浅大腿動脈の閉塞区間では側副血行路がよく発達しているので、浅大腿動脈の閉塞は以前からのものと推測されます。
次は下肢静脈瘤の画像所見です。
青い矢印で示すように右大伏在静脈が累々と拡張しています。典型的な下肢静脈瘤です。レーザーによる日帰り手術できれいに治ると考えられます。
この患者様は点滴と抗血小板薬の内服で閉塞性動脈硬化症による症状はすぐに軽快しました。今後は下肢静脈瘤のレーザー焼灼術と外腸骨動脈の狭窄に対するカテーテル手術を行う予定です。
このような治療は動脈・静脈両方の専門家である血管外科医にしか行なえない治療です。かつ、病院との連携がとれている地元密着の専門クリニックにしかできない治療です。今後はこのような病診連携による高度な日帰り治療が主流になっていくのではないかと思います。