秋好院長ブログ
平塚市民病院でワークショップ
投稿日:2017年11月16日 カテゴリー:お知らせ, 当院での治療例, 日記, 閉塞性動脈硬化症について
本日は平塚市民病院で血管内治療ワークショップがありました。
このワークショップは私が市民病院にいた時代に慶応義塾大学医学部放射線科の井上政則先生と屋代英樹先生とで始めたものです。
当時、3人で「平塚市民病院の血管外科と放射線科で世界でも一流の血管内治療を提供しよう」と青臭い野望を抱いて夜昼と無く働き続けました。病院でひたすらに働く一方で、国内学会にも積極的に参加し、ドイツのライプチヒの学会にも参加して世界トップレベルの治療を見学してきました。
そういった活動の一環として国内の一流医師を平塚にお招きして平塚市民病院でワークショップを開催し、手術をやっていただきました。同じ環境で自分達と一流医師がどう違うのか、自分達が整えた環境には何が足りないのかを検討しフィードバックしました。患者さんにはワークショップの趣旨を説明し、協力をお願いしました。皆様にはご快諾をいただきました。遠くまで一流のドクターに会いに行くのが普通なのに、向こうから来てくれるのだから悪い話のわけがありません。
今日は当院から紹介した患者さん二人をワークショップで治療していただきました。
私も自分の手術が終わった後の昼休みにクリニックを抜け出して先生方にご挨拶とお礼に伺いました。
平塚市の医療体制は残念ながら完璧ではありませんが、少しでも良くしようと現場で頑張っている人たちが沢山いることを平塚市の皆様には知っていただきたいと思いました。
雨と自転車
投稿日:2017年10月17日 カテゴリー:日記
今週はほぼずっと雨です。
お陰様で少し休めています。
患者様が集中したので診察以外のクリニックの事務仕事などが溜まっていました。故障したロボット掃除機も修理に出さなくてはいけません。
患者さんとも雑談出来るので、こういう天気は実は好きです。
平塚市民病院時代を含めると湘南地域で血管外科診療を始めて5年以上になりますが、雨の日は予約変更が見事なまでに相次ぎます。その後に晴れるとどっと来院します。
これはしょうがないことだと思います。実際に平塚に住むとわかりますが、平塚は見事なまでに平坦な土地です。そのため、高齢者の移動手段として自転車が多用されているのです。
雨の日は自転車で来院できなくなるので、キャンセルせざるを得ないのです。無理に来院して事故を起こすよりずっといいので、無理に来るなとこちらから言う時もあります。
手術に関する質問でも「いつから自転車に乗れますか?」というのが上位に来ます。
実は平塚は高齢者にとって住みやすい街です。
これは市民病院に赴任してすぐに平塚を自転車でぐるぐると周って実感しました。
患者が実際にどのようなことで困っているのかを理解するにはその生活を知るのが一番だと思います。そのためには高齢者が実際に使用する自転車やバスで医療機関までの道を往復したり、本人と雑談しながら聞き出すのが手っ取り早い。
雨の日はそうやってゆっくりと診察出来るのがいいです。
大学同窓会
投稿日:2017年10月16日 カテゴリー:日記
昨日は大学同窓会でした。
10年ぶりの日吉キャンパスはおしゃれになってました。20年前はゴミゴミした学生街だったんですけどね。
直前になって手が足りないから来てくれ、と急遽お手伝いをすることになりました。
ブラックジャックセミナーといって、本物の手術器具を使って、お子様達に手術体験をしてもらおうという企画です。外科は4K職場(きつい、きたない、きけん、きびしい)の代表選手なので志望者が年々減っているのです。
その傾向をなんとか食い止めよう、という涙ぐましい努力なのです(T_T)。もちろんそんなことはおくびにもださずに、天使のように優しく接しますけどね。
それじゃあ、ブラックジャックセミナーじゃなくてブラック企業セミナーじゃないか、というご意見はごもっともです。
外科に限らず、医師に限らず、どの科でも、どの職種でも医療職にはある程度のブラック体験はつきものです。命を救うこと、救えるようになること、人の苦しみを引き受けることはそんなに簡単なことではありません。ブラックを耐えられない人はホワイトではおよびではないのも現実なのです。
鬼手仏心
常在戦場
などなど、医療職を形容する言葉は沢山あります。楽しそうに道具を操っている子どもたちをみて、この子達に耐えられるだろうか、この子達の輝きを無駄にすることにならないだろうかと不安を覚えないわけではありません。うまい話で勧誘するだけでなく、現役医療職の側でも合理化・最適化の努力は今後も必要でしょうね。
AIと宇宙旅行と自動運転
投稿日:2017年9月1日 カテゴリー:日記
最近、高校・大学の同級生たちと食事をする機会がありました。
一人はエンジニアとしてコンピューター関係の仕事をしています。AI(人工知能)が流行りということはよくわかりました。
一人は宇宙医学の研究をしています。最近のロケットは着陸するんですね!たまげました。
自動運転もどんどん進歩しているようです。近々発売される車は歩行者を車が自動で避けてくれるようです。
こういった最新技術と医学はどう関係するかなあ、としばらく考えました。
人工知能は「診断」という行為をかなり変えると思います。診断という行為は、観察・情報収集(検査等)をもとに、推論を行い、可能性を選択・排除していく過程です。推論・選択・排除については人工知能が得意とする分野だと思います。一方で、人間相手の観察・情報収集という行為は人工知能は得意では無いと思います。人工知能には感情がないので、患者の感情を理解できません。患者の感情による情報バイアスは理解できないので、偏った判断になるかもしれません。また、人工知能の診断を患者はそのまま受け入れるでしょうか?人工知能はすべての喫煙患者に禁煙を申し渡すでしょう。だからといって禁煙しますか?しないと思います(笑)。人工知能に言われたぐらいでそんなに簡単に禁煙が出来るならJTはとっくに潰れています。人工知能の医療への応用では患者の感情への理解と配慮がネックになると思います。
宇宙医学はどうでしょうか?現在の医学体系は重力の存在を前提にして構築されています。典型的なものでは足のむくみです。これは重力があるからこそ起きることです。無重力空間では足ではなく、顔がむくむ(ムーンフェイス)現象が生じます。一方で、無重力空間では手術は困難になるでしょう。手術に出血はつきものですが、無重力空間では部屋中に血が浮きます。重力があるからこそ、下に流れた血を回収できるのです。人間の体を重力から解放することで解決することもあるでしょうし、不可能になることもあるはずです。
自動運転は医学というよりは医療システムに大きな変化をもたらすでしょう。交通事故の減少、高齢者の通院の手助け、救急車の運転などなど。また、ドローンの併用で災害時医療システムもより進化するのではないでしょうか?現行の医療網は交通網に大きく影響される一方で、構築時には交通網にあまり配慮していません。交通網、医療網はお互いに勝手に動いています。医療過疎と病院過多が同じ国で同時に存在するのはそれも一因です。自動運転技術を用いて交通網と医療網をより連携させることが出来れば、医療システムも大きく変わるでしょうね。
21世紀の医療は楽しみですね。