秋好院長ブログ
下肢静脈瘤と男女差
投稿日:2020年2月21日 カテゴリー:下肢静脈瘤について
下肢静脈瘤は女性に多いと一般には言われています。教科書でもそう書いてありますし、NHKの医療番組でもそのように説明されていたとのことです。
昔はそうだったけど、そうでもなくなっているというのが現場の実感です。
昔は女性が6人ぐらいの子供を生むのはざらでした。妊娠・出産は静脈瘤発生のリスクファクターですので妊娠・出産の回数が増えれば当然ながら静脈瘤発生のリスクは上昇します。現在は少子化で出産や妊娠の回数はぐっと少なくなりました。その分だけ静脈瘤発生のリスクは減ったと思われます。
次に男性側の要因です。一言でいうと半ズボンです。30年前は社会人の男性が普段着として半ズボンを履くことは珍しかったと記憶しています。また、20年前ぐらいの高齢男性は「どうせ長ズボンだから別にいいよ」と手術を希望しない方も多かったですし、そもそもが他人に指摘されない、あるいは恥ずかしがってずっと長ズボンで隠していることも多かった。今は夏になるとみんな半ズボンです。その分だけ受診するようになったと感じます。
男女側それぞれの要因で、発生頻度の男女差がなくなりつつあると感じます。ただ、静脈瘤と自覚して外来に来る人だけをカウントしていますので、実際のところは誰にもわかりません。潜在的には逆転しているのかもしれないし、やっぱり女性の方がずっと多いのかもしれません。
治療する側からすると、どっちでもいいというのが本音です。男性だからといって治療を恥ずかしがる理由はないので、堂々と受診すればいいし、女性だからといってなんでもかんでも治す必要はないです。困っていることに男女は関係ないよ、と思います。