秋好院長ブログ
イチローの引退
投稿日:2019年3月22日 カテゴリー:日記
イチロー選手が引退しました。
イチロー選手の会見で印象に残ったのは、野球が楽しくてプロ野球選手になったけどプロ野球でレギュラーになってから野球が楽しいことはなかった、ということです。色々な状況で打席や守備に立たされるのに、常にヒットを要求される、常にスーパープレーを要求される、そのために準備を怠らない毎日というのは決して楽しいことではないと思います。
先日、友人の外科医に「下肢静脈瘤ばかり毎日やって楽しいですか?」と聞かれました。
これ、イチロー選手と全く同じ答えです。私も全く楽しくありません、残念ながら。
何千例、何万例と同じ病気を診ていたら、誰だって飽きます。数カ月先にまで手術の予定が入っており、いつでも100%成功を期待されるのは楽しい毎日ではありません。
しかし、仕事や職業というのは楽しさにお金を払ってもらっているわけではありません。苦労や成果に対して報酬が支払われるのですから、そのための努力やプレッシャーは当たり前なのです。仕事に対して新鮮さや楽しさを求めているようでは、他人様に技術を売る職人としての水準にそもそも達していないと思います。
嫌になるほど同じ仕事をやって、どんな時でもベストの結果を出して、それでもさらに向上を目指す。そして、自分の感情をコントロールして、自分の技術を幅広く提供して世の中を良くする。そこまでやって初めて「プロフェッショナル」と呼ばれるんだと思います。その仕事が野球であるか手術であるかラーメンであるかは小さな違いですし、その舞台が大リーグであるか平塚であるかということは本当にどうでもいいことです。
今日はそんなことも思いながら8件のレーザー手術をしました。もちろん、全例成功です。
自分はまだ世の中の役に立てる、いつかイチロー選手みたいになんの後悔もない引退を迎えられるようにがんばろうと思いました。