秋好院長ブログ
足の痛みと静脈瘤 その3
投稿日:2018年11月1日 カテゴリー:お知らせ
さて、次は皮膚科です。皮膚科に相談するべきかは患者自身でもある程度わかります。
整形外科=筋肉・骨・神経の痛み。内側の痛みやしびれ。運動や姿勢変化によって影響。
皮膚科=皮膚の痛み=表面の痛み。運動自体とは関係ないが、汗によって影響。
もちろん例外はありますが、ざっと分類するとこんな感じです。
平塚市では下肢静脈瘤そのものを皮膚科が治療することは原則的にありません。
日本の医療は自由標榜制であり、医師免許さえあればどの病気でも診ることは法的に問題ありません。医師不足がもっと深刻で交通事情が劣悪だった時代に、「医師が足りないところでは専門外の治療をするのもやむをえない、専門医ではなくても患者よりはずっと知識があるし、中途半端であってもゼロよりましだろう」ということで許容されていたと想像されます。「あの先生はなんでも診てくれるから偉い」と、患者側にもその意識が強く残っているのはその名残と思います。
わかりやすく言ってしまえば、山の中の一軒しかない食堂ではとんかつ、ラーメン、もりそば、オムライスとなんでもできる方がありがたいけど、都会でたくさんのお店があるところでは、とんかつはとんかつ屋、ラーメンはラーメン屋で食べたほうが美味しいにきまってます。おじいちゃんがもりそば、孫がオムライスを一緒に食べられるファミレスにも存在価値がありますが、味は専門店には遠く及ばないのが現実です。
幸なことに平塚市はそのようなフェーズをすでに脱しています。総合診療医と専門医、専門医同士、病院と診療所というように連携が進んでいます。
下肢静脈瘤による皮膚炎であっても、手術は血管外科、皮膚炎は皮膚科とそれぞれの専門に応じて完全に分業がされています。また、軽症な皮膚炎はクリニックで外来治療、重症な皮膚炎は病院で入院治療と皮膚科内でも良好な連携がとれています。これは平塚市ではクリニック・総合病院ともに極めて優秀な皮膚科医集団に恵まれているという特殊事情のおかげで、良好な協力関係が成立しているためです。
さて、静脈瘤でなんで医療連携のめんどくさい話なのよ、ということですが、これは静脈瘤による皮膚炎・潰瘍のためです。重症の静脈瘤による皮膚炎や潰瘍のために皮膚科をずっと受診していることはよくあります。また、リベド血管炎などの珍しい病気の判別をつけるために血管外科から皮膚科に相談することもあります。潰瘍自体は別の皮膚科的要因なんだけれども、静脈瘤の存在のために治りが悪いような場合は皮膚科から血管外科に相談があります。
静脈瘤治療においては皮膚科と血管外科は相互に補完しあう関係であり、2つの科を並行して受診し続けることはよくあることです。そのため、よりよい治療のためには良好な連携が必要なのです。