秋好院長ブログ
静脈瘤の血管を焼いても大丈夫なの? その2
投稿日:2018年5月14日 カテゴリー:下肢静脈瘤について, 足のむくみ
静脈瘤の血管を焼いても大丈夫な理由の1つ目は、そもそも静脈弁が壊れている静脈はまともな機能を果たしていないからです。
下肢の血流は動脈で入って、静脈で出ていきます。動脈は後ろ側に心臓というポンプがついているので勢いよく血液が流れています。動脈は徐々に枝分かれして下肢のあちこちに血液を運び、徐々に細くなって毛細血管となります。毛細血管のレベルになると心臓で押された血液の勢いはかなり減少します。
毛細血管は下肢のあちこちで出された老廃物を集めて、徐々に集まって太くなって静脈になります。静脈には後ろ側に心臓というポンプはついていません。ではどうやって血液の勢いを得ているかと言うと、静脈の周りの足の筋肉が歩行などで伸び縮みすることをローラーポンプのように利用して血液を動かしているわけです。ただし、この勢いは非常に弱く、重力には簡単に負けてしまいます。それを補うために静脈の中には静脈弁という一方通行弁がついていて、心臓に向かってのみ流れるようになっています。下肢の静脈でいうと立った時に下から上にのみ流れるようになっています。
下肢静脈瘤ではこの一方通行弁が壊れてしまいます。そのため、立ち上がると血液が重力に引っ張られて一気に足に溜まるわけです。この時に溜まった血液が逃げ道を求めて皮膚表面の静脈に流れ込み、これを瘤状に拡張させることによって下肢静脈瘤が出来ます。
道路は信号や標識で交通整理がなされることによって初めて道路としての機能を果たします。信号や標識や通行方向を守らず、対向車線にまで車がはみ出すようでは、道路としての機能を果たしません。血管や血液の流れも同様です。一方通行弁やポンプの働きできちんとした方向に血液が流れることによって初めて機能を果たすのです。
機能を果たしていない道路、例えば慢性的に渋滞している道路や開かずの踏切のある道路など、は潰してしまい、そこに流れている交通量をきちんと流れる幹線道路に流したほうが交通渋滞や排気ガス問題は解決しますよね?下肢静脈瘤でも同じことです。血液が逆流している静脈はレーザーで潰してしまいます。そうすることによってまともに流れている太い静脈に血液を誘導するのです。
次回はまともに流れている太い静脈についてです。