秋好院長ブログ
下肢静脈瘤による足のかゆみ、黒ずみ
投稿日:2018年3月26日 カテゴリー:下肢静脈瘤について
今回は下肢静脈瘤による足のかゆみと黒ずみについて解説です。
下肢静脈瘤になると足が痒くなることがあります。痒くなった場合には手術を勧めています。
痒くて掻き壊すとそこが潰瘍化(皮膚がえぐれた状態になること)することがあるからです。
手術をした後はかゆみがすっきり治まることが多いです。
では、なぜかゆくなるのでしょうか?
静脈瘤が出来ると静脈圧が高くなって赤血球が血管の外に滲み出します。
血管の外に滲み出た赤血球は壊れてしまいます。そうすると赤血球の中に含まれる鉄分(ヘモグロビン)が皮膚に沈着してしまうのです。
この鉄分を貪食するために白血球が寄ってきて炎症反応を起こします。白血球は炎症を引き起こしますので、かゆくなるのです。
治りかけの傷が痒くなりますよね。あれと同じ痒さです。
また、かゆみがある患者は皮膚の色が黒ずんでいることがあります。(色素沈着)
あれは沈着した鉄分の色なのです。鉄さびの色と同じだと思ってもらえるとわかりやすいと思います。
この色は一度つくとなかなか落ちません。これも鉄さびがなかなか落ちないのと同じだと思ってもらうとわかりやすいと思います。
残念ですが、黒ずみはいったんつくと手術をしてもなかなか落ちないです。落ちないわけではありませんが、数年はかかります。長い人だと10年くらいはかかります。
じゃあ、手術してもしょうがないじゃないか、と思われるかもしれません。しかし、手術をしないとどんどん色がついていく、痒くなる、潰瘍になるので治るのに非常に時間がかかるようになる上に、ほぼ間違いなく跡が残ります。
以上のことを考えると黒ずみやかゆみがある患者は先読みして手術をしたほうがいいと私は思います。