秋好院長ブログ
3月からの手術枠拡張について
投稿日:2019年2月21日 カテゴリー:お知らせ, 下肢静脈瘤について, 血管外科について
3月1日から手術枠を増やします。これによって手術待ち期間は大幅に短縮されることが見込まれます。
手術枠の準備のためには数ヶ月を費やしました。手術法の改良、術後外来の最適化によって患者側に不利益がないようにした上で、スタッフの負担が極端に増えないようにしました。
また、従来は重症患者であっても手術待ちが生じていたのですが、増やした枠を重症患者のための優先枠として運用することで重症患者の場合には優先的に手術を受けられるようにしました。具体的に重症患者とは静脈性潰瘍の既往や活動性潰瘍がある患者(CEAP分類でC5以上)となります。不公平が生じないように重症の判断については医師が客観的に医学的判断を行います。「外来の順番が先だったから」「仕事の都合があるから」「とにかく早くやってほしい」というだけでは優先枠は使用しませんのでご了承ください。
ただし、現時点(2/21)で4月以降に手術を予定されている患者さんについては経過措置として空いている3月の優先枠を使用して前倒しするようにしたいと思います。伝達ミスによる混乱や医療ミスを予防するために電話での手術予約変更は行っていません。(書面ベースでの変更になります。)予約の上で外来を受診していただき、手術承諾書を再発行し、当日の予定をスタッフと確認してください。(従来とは時間が変更になります。)この経過措置については3月いっぱいまでを予定していますが、混乱が生じるような場合や優先枠が一杯になった場合には予告なく終了することがあることをご了承ください。
3月に手術を予定している患者さんも前倒し可能です。ただ、優先枠の空き具合によっては数日間から一週間の前倒しでしかないかもしれません。
手術枠をもっと増やすことや土曜日の手術枠の設定も検討しています。本当は重症なのに仕事が忙しくて平日は休めない人も手術を受けられるようにしてあげたいと思います。ただし、安全を最重視して段階的に行う予定です。
将来の患者さんのために、今いる患者さんと協力して移行期を乗り越えたいと思います。ご協力をお願いします。
思い出のとんかつ
投稿日:2019年2月18日 カテゴリー:日記
医学部卒業後に慶応義塾大学病院で一年間の勤務を経た後に最初の派遣先が総合太田病院でした。今は改築移転して太田記念病院となっています。
平日は22時前に仕事が終わることなど極稀にしかなく、土日も仕事でした。また、連日のように緊急手術や急変などで緊急コールがありました。一年間を通して休んだのは一週間あるかないかで、当時はブラック企業やパワハラという言葉もなく、それが当たり前でした。また、スマホなどもなく、ネットも整備されていなかったし、緊急時に備えて病院から30分以上かかるところへの外出は禁止されていたので、市内での外食だけが楽しみでした。
もとからとんかつは好きだったのですが、三枚橋のとんかつ屋の親父さんは会心の一撃みたいなとんかつを揚げてくれると「どうだ、うまいだろ」と声を掛けてくれました。また、いつもにこにこしている女将さんはとても優しくて、凹んでいるときには励みになりました。一人で行ってお腹いっぱい食べるのが楽しみでした。
離任してからはなかなか行く機会もなく、親父さんが亡くなられて代替わりしたと風の噂で聞きました。いろいろととんかつを食べたけれど、あれ以上のとんかつはなかった。先日、思い立って太田市まではるばる運転しました。
確かに代替わりして息子さんが揚げていました。親父さんは亡くなられたわけではなく、入院したときにピンチヒッターで息子さんが守っていただけで今もお元気とのこと、親父さんと女将さんは二年前までは現役でやってらしたとのことでした。もっと早く伺えばよかったと悔やまれました。
親父さんのとんかつは僕の思い出のなかで美化された味ですが、息子さんのとんかつはそれに劣らないものでした。息子さんのひとひねりを加えているとのことでしたが、なんの違和感もなく、僕は貪り食いました。
最近はチェーンの飲食店が多くなり、どこに行ってもおなじような味で、同じようなサービスです。それはそれで安心できるのですが、そこに感動はありません。
他人様に感動を与えるのは並大抵のことではなく、良かれとおもったことが裏目に出て怒りを買ったりすることもあります。
利益を生み出すための単純な手段(job)と考えれば感動を生み出すための試行錯誤は非効率的なリスクでしかなくマニュアル化で排除すべきです。しかし、常に向上を要求される専門的な職業(profession)に試行錯誤は欠かせません。また、先人の進歩や発見を踏まえた改善を次代に繋げて初めて天職(vocation)と言えると思います。
とんかつ食っただけでなに語ってんだよ、と突っ込まれそうですが、最後に見送ってくれた息子さんの女将さんそっくりの優しい立ち姿で「小僧の神様」を読んだときのような気分になったので日記として残しました。