秋好院長ブログ
ワクチンを射ち終えて
投稿日:2021年7月20日 カテゴリー:お知らせ
本日の接種を最後にオリンピック前のワクチン接種を終了して、夏休みに入ります。
これまでの6週間、平日診療の合間や休日返上で多くの人に接種してきました。人手の増加が予想されるオリンピックの前に一人でも多くの高齢者を一日でも早く接種することが医療従事者全体の目標でした。当院だけでなく、多くのクリニックや病院や自衛隊や自治体が働き続けました。残念ながら東京は四度目の緊急事態宣言ですが、感染者における高齢者の割合とそれに比例する重症化率は大きく下がりました。
医療従事者全員が本気を出して頑張って、ワクチンが足りなくなるぐらいにうちまくりました。煽り立てる事自体が目的のワイドショーは相変わらず騒いでいますが、コロナ禍沈静化と経済活性化、そしてなによりも子どもたちがマスクをせずに学校に行ける世界、楽しくおしゃべりしながら給食を食べられる世界を取り戻すために粛々とできることをこなしていけば良いと思います。
これを機に一休みしたいと思います。ワクチン接種そのものはチクリだけで簡単なのですが、その前後の事務処理や電話対応などは膨大であり、全員が疲労困憊です。
新規治療について(スーパーグルー治療)
投稿日:2021年6月28日 カテゴリー:お知らせ
集団免疫の早期達成のために職員総出の休日返上でワクチン接種に取り組んでいますが、本業もおろそかにはしていません。
スーパーグルー治療を導入しました。完璧な治療ではありませんが、適切な適応であればレーザー以上の威力を発揮することもあります。興味がある方はご相談ください。
スーパーグルー治療は静脈瘤内に瞬間接着剤を注入して固めてしまう治療です。同様の治療として硬化療法がありますが、硬化療法は静脈瘤を表面だけ修正するので、根本から治すわけではありません。そのため、再発率が高いのが難点です。スーパーグルー治療は静脈瘤を根本から治すことができる治療です。そこが硬化療法との大きな違いです。
スーパーグルー治療がレーザー治療より優れている点は術後のダウンタイムが短いこと、痛みが少ないことが挙げられます。
スーパーグルー治療がレーザー治療より劣っている点は、アレルギーや長期成績が不明なこと、レーザー治療と比べて高額なことです。
細かいことを挙げていくとかなり長くなりますが、当院の現時点での印象としては高齢者に適した治療であると思います。ダウンタイムが少ないことはもちろんですが、高齢者は自己負担割合が低い上に自己負担限度額も2.5万円と低いので経済的負担もレーザーと変わりません。
現役世代にやってはいけないというわけではありませんが、アレルギーのリスクや長期成績が不明な点を考慮するとレーザー治療との差額を払うだけの価値があるかは現時点では不明です。というのは、コロナ騒動のためにスーパーグルー治療の普及が遅れており、データが集まっていないうえに討議が進んでいないからです。将来的にデータが集まってからでよいのではないかと思います。おそらく、来年には本格的に開始できると思います。
当院でのこれまでの経験では、うまくツボにハマった場合のスーパーグルー治療は効果絶大ですが、じゃあ、どこがツボなのか、どういうことがコツなのかということはレーザー治療と比べるとまだわからないことも多いです。従って、慎重に実施しています。逆にいうと当院からグルー治療を積極的に勧めた場合というのは、適応に確信を持って勧めている場合と考えてもらって結構です。
将来的には症状などによって使い分ける指針ができると思います。下肢静脈瘤専門クリニックとしてしっかりと準備は進めていきたいと思います。
コロナワクチン接種について
投稿日:2021年6月10日 カテゴリー:お知らせ
当院でのコロナワクチン接種は原則的に火曜日午前中にまとめて行います。
(普段は火曜休診ですが、接種時間のみ開院します。)
かかりつけ患者、新規患者を問わず予約可能です。
計324枠を6/10に開放したので、予約サイトからすぐにとれるはずです。
予約方法:当院での直接予約は受け付けていません。平塚市コールセンターもしくは平塚市接種予約サイトからの予約となります。
当日持参するもの:予診票、クーポン、身分証明証
接種当日は会場での会話は控えてください。
スペースが限られていますので、付き添いの人数は一人までとさせていただきます。
接種効率の向上と迅速化のためご協力をお願いします。
コロナワクチンと手術について
投稿日:2021年4月22日 カテゴリー:お知らせ, よくある質問, 下肢静脈瘤について
コロナワクチンの接種がもうすぐ始まります。
「コロナワクチンの前後に静脈瘤の手術をしていいか?」という質問を多くいただくようになりました。
結論からいうと、「全く問題ないです」ということになります。
わざわざ手術当日に接種をする必要はありませんが、手術翌日でも手術前日でも別に構いません。
ちなみに当院も連携型施設としてワクチン接種に参加します。従って、手術後翌日もしくは翌々日の外来にあわせてワクチン接種を行うことは可能です。(事前にワクチンの予約をする必要はあります。)
NHKチョイスシリーズ5 不適切治療を回避するために
投稿日:2021年3月29日 カテゴリー:お知らせ
不適切治療を行っている施設にひっかからないためにはどうすればよいのか?
1. 医師の経歴を確認する。
「血管外科医」であることを確認してください。昔は平気で泌尿器科医であることや内科医であることや整形外科医であることが経歴に書いてありました。書く方も書く方ですが、これで受診する方も受診する方です。最近は悪徳クリニック側も警戒して、経歴をぼかすようになりました。血管外科医であれば、血管外科勤務歴を明快に書いてあります。(隠す必要がないからです。)
2. 高周波治療は避ける。
高周波治療そのものは良い治療です。ただし、高周波治療が不正の温床になっているのも事実です。高周波治療を行っている施設すべてが悪徳施設というわけではもちろんありませんが、悪徳施設はほぼ例外なく高周波治療でした。これは高周波治療のみがカテーテル再利用が可能な構造になっており、コストカットが可能だからです。
3. グルーでの両足同時治療を避ける。
現時点での診療報酬体系ではグルー治療での両足同時治療が最も利益が出ます。従って、グルーでの両下肢同時治療を執拗に薦めるような場合は疑ってかかったほうが良いと考えます。
4. インスタグラムでインフルエンサーを使って宣伝する施設は避ける。
下肢静脈瘤患者の圧倒的大多数は高齢者です。現役世代や若者がならないわけではありませんが、ずっと少ない。現役世代や若者にしか通用しないインスタグラムやインフルエンサーに頼るということはどういうことか、ということを想像してみてください。
5. 静脈瘤クリニックチェーンは避ける。
高周波治療における不正なカテーテル再利用の仕組みは、グループで一括購入して、それを再滅菌しながらグループ内で使い回すということです。そうすると、購入本数と実際の使用本数の追跡ができなくなり、再利用がバレなくなります。カテーテルは非常に高価なので、再利用で浮いた利益を次々とチェーン展開やネット広告に投資していきます。その過程で内科医や泌尿器科医や整形外科医や精神科医を自称「下肢静脈瘤専門医」と仕立て上げていくわけです。ただし、最近はチェーンであることをあえて書かない、カテーテルを共同購入はしているが名目上は独立しているなど巧妙化しています。
6. 広範囲に積極的なリスティング広告を展開しているところは避ける。
「下肢静脈瘤専門医」という資格はこの世に存在しません。「血管外科が下肢静脈瘤を専門としており、下肢静脈瘤を特に得意としている血管外科医がそのなかにいる」というだけです。それが医療界の一般的な共通認識です。血管外科医自体の数も少ないですが、下肢静脈瘤を得意とする血管外科医はさらに少なくなります。きちんとした血管外科医には良識的な医療機関からの紹介が集まってきますので、ネット広告を盛大に行う必要はありません。ほっといても患者が集まってくるからです。神奈川県には慶應義塾大学血管外科でトレーニングをうけた身元の確かな血管外科医による静脈瘤クリニックが4軒ありますが、いずれもネット広告は一切していません。
7. 遠方の下肢静脈瘤クリニック受診を避ける。
これは悪徳クリニックによる不適切治療とは関係がありませんが、遠方の下肢静脈瘤クリニックで治療を受ける意味はありません。きちんとしたトレーニングを受けた血管外科医にとって下肢静脈瘤は基本的な手術手技であり、血管外科医にとっては難しいものではありません。もちろん、医師によって多少の考え方の差があったり、相性はありますが、東京まで出かけるほどの医療格差はないのが現実です。それをわざわざ東京まで出かけるのは、吉野家の牛丼を食べるのに築地の1号店まで行くことにこだわるとか、ビッグマックを食べるのに銀座で食べることに喜びを覚えるとか、頭から否定はしませんが蓼食う虫も好き好きとしか言えません。テレビに釣られて東京で治療を受けた後に再発した患者さんを何人も拝見しましたが、どんな手術をされたかも本人がわかってないし、手術内容を記載した紹介状を持参するように促しても面倒くさがります。これでは本末転倒であり、より良い医療を受けるために東京までわざわざ行った意味がないと考えます。厚労省の推進する地域医療構想に則れば、居住地域の医療圏で医療を完結させるのが最も合理的であり、一般医療を受けるために東京まで行くことには合理性はありません。所属する医療圏に該当専門医がいなくても、隣接医療圏まで行けば大抵はみつかるはずです。
不適切治療問題の本質は、病床数削減や医療費削減の数値目標達成の一環として下肢静脈瘤治療を入院治療から外来治療に転換することを目論んだが、血管外科医の数が足りないために他の診療科医師にも門戸を開いたこと、高周波治療でカテーテル再利用防止措置をとらなかったことです。前者だけであれば、問題は小さかったと思います。泌尿器科医や整形外科医や内科医が下肢静脈瘤治療に携わるのは違和感を感じますが、うっ滞性潰瘍の患者を多数抱える皮膚科医が近隣に血管外科医がいない地域で携わることには意義があると感じます。ただ、それであっても組織的なカテーテル再利用と組み合わされば、正常な医療や学術の発展を妨げます。このような状況が一刻も早く改善され、正常な医療が戻ることを切に願います。