秋好院長ブログ
下肢静脈瘤と閉塞性動脈硬化症を合併した例
投稿日:2017年6月12日 カテゴリー:下肢静脈瘤について, 当院での治療例, 閉塞性動脈硬化症について
この患者様は足が痛い、歩けない、血管が膨らんでいるとのことでいらっしゃいました。病院でも下肢静脈瘤ということで血管外科にまわってきました。
お話を伺うとすぐに普通の静脈瘤ではないということが分かりました。動脈の検査も並行して行い、閉塞性動脈硬化症と下肢静脈瘤の合併とわかりました。
まずは閉塞性動脈硬化症の画像所見です。
黄色の矢印の箇所で外腸骨動脈が高度狭窄しています。また、右浅大腿動脈(赤い矢印を結ぶ区間)が閉塞しています。浅大腿動脈の閉塞区間では側副血行路がよく発達しているので、浅大腿動脈の閉塞は以前からのものと推測されます。
次は下肢静脈瘤の画像所見です。
青い矢印で示すように右大伏在静脈が累々と拡張しています。典型的な下肢静脈瘤です。レーザーによる日帰り手術できれいに治ると考えられます。
この患者様は点滴と抗血小板薬の内服で閉塞性動脈硬化症による症状はすぐに軽快しました。今後は下肢静脈瘤のレーザー焼灼術と外腸骨動脈の狭窄に対するカテーテル手術を行う予定です。
このような治療は動脈・静脈両方の専門家である血管外科医にしか行なえない治療です。かつ、病院との連携がとれている地元密着の専門クリニックにしかできない治療です。今後はこのような病診連携による高度な日帰り治療が主流になっていくのではないかと思います。
高齢者の腹部大動脈瘤
投稿日:2017年6月3日 カテゴリー:当院での治療例, 腹部大動脈瘤について, 足のむくみ
この患者様は足のむくみで受診された患者様でした。
その日のうちに超音波検査をやって深部静脈血栓症(エコノミークラス症候群)がないことは確認しました。お腹の中の静脈(腸骨静脈)に血栓があるかを確認したところ、腹部大動脈瘤があることが分かりました。
ご家族にお話を伺ったところ、入院した病院で以前にも指摘されたことがあるがフォローアップは受けていないとのこと。こちらから病院にコンタクトをとって状況を確認する共に、CTを取り寄せました。
たしかにCTにも腹部大動脈瘤が写っています。腹部大動脈瘤の内側についている血栓が血流にのって流れて、細い動脈を詰まらせていたことが前回の入院の原因でした。(Blue toe症候群)ただし、高齢で手術を希望されなかったので、外来ではフォローアップされずに宙ぶらりんになっているようでした。
リスクの大きさと比べてご本人の体力やご家庭の状況を鑑みると手術はやはり現実的ではないということで意見が一致しました。当院でフォローアップを行い、必要時には病院へ改めて紹介することにしました。
現在の医療は高度な治療を行う病院とプライマリーケアを行う診療所の連携(病診連携)がとても重要です。ただ、一般の診療所ではなかなか難しいケースもあります。このようなケースでは地域に密着した専門クリニックがお役にたてると実感したケースでした。
CTがとても役にたった例
投稿日:2017年6月1日 カテゴリー:下肢静脈瘤について, 当院での治療例
この患者様は足のだるさ、痛みで受診された患者様でした。一見すると表在静脈の拡張は軽度で、一般のドクターなら下肢静脈瘤とは診断せずに別の治療を行うかもしれません。
ところがCTをとるとこれが静脈瘤とわかります。CTでも表在静脈の拡張は軽度ですが、大伏在静脈は根部からとても拡張しています。超音波検査でも大伏在静脈に強い逆流を認めました。
この患者様はレーザーで右大伏在静脈を焼灼しました。手術直後より右足は軽くなり、大変に喜ばれていました。
もちろん日帰り治療です。この患者様は院長が平塚市民病院に勤めていた時に受診された患者様ですが、日帰り治療を希望されたので、当クリニックの開院までお待ち頂きました。(平塚市民病院は急性期病院ですので、日帰り治療には対応できません。)お待たせして大変申し訳ありませんでした。
スリムな方のレーザー治療
投稿日:2017年6月1日 カテゴリー:下肢静脈瘤について, 当院での治療例
当院で治療した例です。
この患者様はとてもスリムな方です。皮下脂肪があまりありません。このようなケースでは注意してレーザー治療を行わないと皮膚に火傷をおこしてしまいます。
CTを撮影するとよく分かるのですが、ふともも(大腿)のなかほどから逆流は表在静脈に流れています。この表在静脈をレーザーで焼くことは可能なのですが、血栓を生じて痛みや黒ずみの原因になってしまうことや火傷をおこすことがあります。このような表在静脈はレーザーで焼くよりも針穴から巻き取る方が跡が残りません。一時的に内出血を起こしますが、これは一週間ほどで間違いなく良くなります。(大伏在静脈はレーザーで焼いています。)
このケースでもメスは一切使ってません。針だけしか使ってませんので、傷跡はほとんど残りません。このようなケースは血管外科医の腕の見せ所ですね。
この患者様には写真や画像の使用を「他の患者さんのためになるなら」とご快諾頂きました。手術の出来上がりや結果でご恩返しをしたいと思います。