秋好院長ブログ
stay home中の足のむくみについて
投稿日:2020年7月18日 カテゴリー:お知らせ, 下肢静脈瘤について, 足のむくみ
Stay home期間中の足のむくみのために受診する患者さんが増えています。
大別すると理由は以下の2つです。
1.運動不足によるもの
足の静脈の血液は運動時に骨格筋が収縮・弛緩してローラーポンプのように働くことによって心臓に向かって流れます。stay home中は運動が足りなくなるうえに、椅子に座って足を下ろしている時間が長くなるので、足の静脈の血液の流れが悪くなって足がむくみます。
2.体重増加によるもの
足の静脈の血液はお腹の静脈を通って心臓にまで戻ります。運動不足で体重が増えると、内臓脂肪が増えるのでお腹に血液が入っていくのに抵抗が高くなり、足の静脈の血液の流れが悪くなって足がむくみます。
教科書に書いてあるような根本的な解決方法は自宅で運動、自己節制ですが、言うは易しでそんなに簡単なことではありません。
ゴキブリ体操というのを紹介している本もありますが、ゴキブリ体操していたら家事はできません。
現実的な解決方法としては弾性ストッキング(着圧ストッキング)着用となります。
まずは弱圧のハイソックスタイプでよいので、アマゾンや薬局で買ってみて履いてみることを勧めます。
素材としてはマイクロファイバーやコットンがかぶれが少なくておすすめです。どうしてもわからない、医療機関で購入する方が安心という方は予約をとって受診してください。当院の看護師は弾性ストッキングコンダクター有資格者であり、弾性ストッキングについて専門的な知識を持っています。
ストッキングを履いてもよくならない、ストッキングを履いている時はいいけど脱いだ後は足がだるくてたまらない、というような場合には深部静脈血栓症や下肢静脈瘤が疑われます。そのような場合には受診することをお勧めします。検査や専門的な治療が必要になります。
オンライン診療を開始しました。
投稿日:2020年5月18日 カテゴリー:お知らせ, よくある質問, 下肢静脈瘤について, 冷え症について, 腹部大動脈瘤について, 血管外科について, 足のむくみ, 閉塞性動脈硬化症について
5/8よりメールによるオンライン診療を開始しました。もちろん保険診療です。
必要な写真や事項を添付・記載して下記メールアドレスにメールを送付してください。
<アドレス>
info@shv-clinic.com
<必要事項>
住所のわかる身分証明証の写真(運転免許証など)
保険証の表面と裏面の両方の写真
静脈瘤の写真
氏名(ふりがな)、郵便番号、住所、電話番号(自宅、携帯)、症状の経過を箇条書きで簡潔に記載。パソコンからの別メールでも可です。
<やり方>
1.スマホで身分証明証、保険証の裏表を撮影。
2.下肢静脈瘤を撮影
3.必要な写真を添付したメールをスマホから上記アドレスに送付。
4.氏名(ふりがな)、郵便番号、住所、電話番号(自宅、携帯)、症状の経過を箇条書きで簡潔に記載したメールをスマホから送付。文章のタイプが楽ならパソコンからでもOK。
5.数営業日で返事が来るのでメールでやり取り。支払いの案内に従って会計。
現在、メールアドレスが自動入力されるQRコード等を記載したオンライン診療のためのページを作成中です。もう少しお待ちください。
隠れ静脈瘤について
投稿日:2019年5月15日 カテゴリー:下肢静脈瘤について, 冷え症について, 血管外科について, 足のむくみ
「隠れ静脈瘤」をちょくちょく経験します。
「隠れ静脈瘤」という病名は医学的にはありません。本当は静脈瘤なのに、患者側や一般総合医側の誤解によって見逃されている静脈瘤を便宜的にそのように呼んでいるだけです。
これを理解するには静脈瘤の手術適応について説明しないといけません。
静脈瘤の手術適応を一言でいうと「静脈圧亢進症状の有無」です。
実は見た目の血管の膨らみはそんなに重要ではないのです。見た目がどんなに酷くても静脈圧亢進症状がなければ保険を使って手術することはできないことになっています。逆に見た目の問題がなくても、皮膚炎を伴うようなひどい静脈圧亢進症状があれば手術することは保険で可能ですし、専門医は手術を強く勧めます。なぜならば、自然に良くなる事はないので、後で苦労する事が目に見えているからです。
「静脈圧亢進症状」が具体的にはなんなのか、ということをあえてここまで書かなかったのですが、ここに「隠れ静脈瘤」が生じる理由があります。要するに「静脈圧亢進症状」について一般の方はほとんど知らないのです。TVでやっているのは表面の分かりやすい血管の膨らみだけで、静脈瘤の病態生理についてはほとんど語っていません。残念ながら一般総合医も似たような感じです。正確で掘り下げた知識よりも、わかりやすさが優先される世の中ではしょうがないのかもしれません。
それでは「静脈圧亢進症状」を列挙してみましょう。
足のむくみ、だるさ
足のつり(特に早朝や夜間)
ずっと立っていた時や椅子に座っていた時の足のだるさ、じんじんする感じ
皮膚のかゆみ
皮膚の黒ずみ
傷が治らない
皮膚のえぐれ(潰瘍)
などです。
上の3つならば手術は「一応は」待てます。「一応は」というのは手術さえすればかなり楽になって取り返せるし、跡も残らないので手術が遅れても問題ないということです。一方で、この3つの症状を持つ患者の方が自覚症状の訴えが強い事が多く、手術を強く希望することが多いようです。だるさ、つり、むくみなどは他人にはなかなか分かってもらえないことによる心理的なものもあるかもしれません。
下の4つがある場合は早く手術した方がいいです。なぜならば、進行するし、一度ついた色はなかなか落ちないし、潰瘍にいったんなると治っても跡が残ります。上の3つの症状に比べて、こっちの方がはるかに重症なのに、なぜかこっちの方が手術を嫌がります。不思議なものです。
いわゆる隠れ静脈瘤で問題になるのは下の4つです。また、皮膚炎が重症化すると皮膚が厚くなってぼこぼこの血管がかえってわからなくなって治ったかのように錯覚する人もいます。これを見逃すと患者は大きな不利益を被る事になります。注意しなければなりません。
暑さと血栓
投稿日:2018年7月19日 カテゴリー:お知らせ, 下肢静脈瘤について, 血管外科について, 足のむくみ
めちゃくちゃ暑いですね。
あまりの暑さなので涼しいうちに通勤するように心がけています。
血栓の形成にはウィルヒョウの三要素 (Virchow’s triad)という以下の3つの大きな要因があると言われています。
1.血管内皮細胞の傷害 2.血流の緩慢 3.血液性状の変化
このうち、暑さで問題となるのは3つ目の血液性状の変化です。暑さで汗を大量にかくと脱水になります。
そうなると血液中の水分が減少して、血球成分が相対的に増加します。そうなると粘稠度の増加となります。
いわゆる血液がドロドロになるという状態です。(実際にはドロドロとまではなりませんが。)
これだけで血栓がいきなりできるということはありませんが、これに加えて、タバコや高脂血症(=1.血管内皮細胞の傷害)、長時間の正座や旅行(=2.血流の緩慢)が加わると血栓ができます。
予防方法は簡単です。水を飲めばいいだけです。常に500mlのペットボトルを持ち歩いてのどが乾いたら飲む、ただそれだけです。
これで脱水状態が改善して血栓がかなり予防できるのだからやらないと損です。
もう一つは暑い時間帯には家で涼んでいるということです。特に高齢の方はあえて暑い盛りに動く必要はないと思います。
当院でも高齢の方はなるべく夕方に予約を入れるようにしています。
静脈瘤の血管を焼いても大丈夫なの? その2
投稿日:2018年5月14日 カテゴリー:下肢静脈瘤について, 足のむくみ
静脈瘤の血管を焼いても大丈夫な理由の1つ目は、そもそも静脈弁が壊れている静脈はまともな機能を果たしていないからです。
下肢の血流は動脈で入って、静脈で出ていきます。動脈は後ろ側に心臓というポンプがついているので勢いよく血液が流れています。動脈は徐々に枝分かれして下肢のあちこちに血液を運び、徐々に細くなって毛細血管となります。毛細血管のレベルになると心臓で押された血液の勢いはかなり減少します。
毛細血管は下肢のあちこちで出された老廃物を集めて、徐々に集まって太くなって静脈になります。静脈には後ろ側に心臓というポンプはついていません。ではどうやって血液の勢いを得ているかと言うと、静脈の周りの足の筋肉が歩行などで伸び縮みすることをローラーポンプのように利用して血液を動かしているわけです。ただし、この勢いは非常に弱く、重力には簡単に負けてしまいます。それを補うために静脈の中には静脈弁という一方通行弁がついていて、心臓に向かってのみ流れるようになっています。下肢の静脈でいうと立った時に下から上にのみ流れるようになっています。
下肢静脈瘤ではこの一方通行弁が壊れてしまいます。そのため、立ち上がると血液が重力に引っ張られて一気に足に溜まるわけです。この時に溜まった血液が逃げ道を求めて皮膚表面の静脈に流れ込み、これを瘤状に拡張させることによって下肢静脈瘤が出来ます。
道路は信号や標識で交通整理がなされることによって初めて道路としての機能を果たします。信号や標識や通行方向を守らず、対向車線にまで車がはみ出すようでは、道路としての機能を果たしません。血管や血液の流れも同様です。一方通行弁やポンプの働きできちんとした方向に血液が流れることによって初めて機能を果たすのです。
機能を果たしていない道路、例えば慢性的に渋滞している道路や開かずの踏切のある道路など、は潰してしまい、そこに流れている交通量をきちんと流れる幹線道路に流したほうが交通渋滞や排気ガス問題は解決しますよね?下肢静脈瘤でも同じことです。血液が逆流している静脈はレーザーで潰してしまいます。そうすることによってまともに流れている太い静脈に血液を誘導するのです。
次回はまともに流れている太い静脈についてです。