湘南平塚下肢静脈瘤クリニックブログ

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秋好院長ブログ

足がむくむ、つる、張るという症状について

今回はメール等でお問い合わせがあったことについて述べたいと思います。

 

足がむくむ、つる、張るという症状には様々な原因がありますが、下肢静脈瘤が原因のことがあります。

下肢静脈瘤の本態は伏在静脈や不全穿通枝の逆流による静脈圧上昇です。静脈圧が上昇するとその逃げ道をもとめて、皮膚表面の血流が増加し、表在静脈が拡張して瘤(こぶ)状になります。表在静脈の瘤状拡張はあくまでも二次的なものです。一般の方は外からしか見えないので表面の瘤があるかないかで下肢静脈瘤を判定しがちですが、それは誤りです。専門医はその奥にある伏在静脈や不全穿通枝の存在を超音波検査やCTなどで診断しています。

 

初期の静脈瘤では伏在静脈や不全穿通枝が逆流して静脈圧は上昇していますが、表在血管は拡張していないときもあります。このような時は漠然とした足がむくむ、つる、張るという症状のみが存在しています。また、逆に重症の下肢静脈瘤では皮膚表面の血管拡張がわからなくなることもあります。これは皮膚の炎症が進んで足が腫れあがってマスクされてしまうためです。

 

もちろん上記の症状がすべて下肢静脈瘤のためとは限りません。深部静脈血栓症のときもあるし、腰部脊柱管狭窄症のときもあるし、血栓塞栓症のときもあるし、閉塞性動脈硬化症のときもあるし、膝窩動脈捕捉症候群のときもあるし、膝窩動脈外膜嚢胞のときもあるし、バージャー病のときもあります。肥満や冷え症のときもあります。さらには複数のものが合併している時もあります。血管外科を長くやっているとそれなりに色々なことに遭遇してきているので、拝見しないとなんとも言えないのが率直なところです。

 

次に、仮に初期の下肢静脈瘤だったとして治療の話に移ります。

明らかな伏在静脈や不全穿通枝の逆流が確認され、症状が日常生活に影響を及ぼしている場合には手術を考慮します。多くの場合でレーザー手術で問題ありません。また、初期の場合は手術も短時間で済むことが多いです。うっ滞性皮膚炎などに重症化してから下肢静脈瘤手術を受けに来る方が多いのですが、本当は初期で手術をした方がやる方も受ける方も楽です。

伏在静脈や不全穿通枝の逆流がごく軽度の場合や逆流はあるんだけれど何らかの事情で手術を受けられない場合には手術以外の手段で生活に支障をきたさない対策法を探ります。そのような対策法で満足出来ない場合には改めて手術の可能性を探ることになると思います。

 

伏在静脈や不全穿通枝の逆流が全く無いときは、まずは他の原因を探るのが妥当だと思います。さきほど列挙した別の病気はまた別の詳しい検査が必要になります。これはまったくもってケースバイケースですので、ここではとても書ききれないので割愛します。

 

ざっとさわりを述べるとこんな感じです。こういったことを患者さんが部屋に入った瞬間から観察しながら判断しているわけです。

 

平塚市民病院でワークショップ

本日は平塚市民病院で血管内治療ワークショップがありました。

 

このワークショップは私が市民病院にいた時代に慶応義塾大学医学部放射線科の井上政則先生と屋代英樹先生とで始めたものです。

 

当時、3人で「平塚市民病院の血管外科と放射線科で世界でも一流の血管内治療を提供しよう」と青臭い野望を抱いて夜昼と無く働き続けました。病院でひたすらに働く一方で、国内学会にも積極的に参加し、ドイツのライプチヒの学会にも参加して世界トップレベルの治療を見学してきました。

 

そういった活動の一環として国内の一流医師を平塚にお招きして平塚市民病院でワークショップを開催し、手術をやっていただきました。同じ環境で自分達と一流医師がどう違うのか、自分達が整えた環境には何が足りないのかを検討しフィードバックしました。患者さんにはワークショップの趣旨を説明し、協力をお願いしました。皆様にはご快諾をいただきました。遠くまで一流のドクターに会いに行くのが普通なのに、向こうから来てくれるのだから悪い話のわけがありません。

 

今日は当院から紹介した患者さん二人をワークショップで治療していただきました。

私も自分の手術が終わった後の昼休みにクリニックを抜け出して先生方にご挨拶とお礼に伺いました。

 

平塚市の医療体制は残念ながら完璧ではありませんが、少しでも良くしようと現場で頑張っている人たちが沢山いることを平塚市の皆様には知っていただきたいと思いました。

冷え症 その5

動脈にも静脈にも異常がない場合には血流低下はないといったんは考えて差し支えありません。

では何に問題があると思いますか?
一つの可能性は神経です。

人間の感覚は神経に支配されています。
末端の受容器で刺激を受取り、末梢神経を伝わり、脊髄を登っていき、最後に脳で認識します。

この流れのどこかで神経に圧迫が加わわると、神経はその上流で痛みがあるかのように錯覚を起こします。
例えば、脊柱管狭窄症では腰に異常があるのに、足に痛みが生じます。
https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/lumbar_spinal_stenosis.html

脊柱菅狭窄症では神経が原因で足がしびれる、痛い、じんじんするなどの症状が生じます。
血管外科を受診される患者様で脊柱菅狭窄症を持っている方は沢山います。

一方で、脊柱菅狭窄症と診断されている患者様で、血管が原因で症状が生じている方も沢山います。
私がこれまでに勤めてきた病院でも整形外科からのご依頼が最も多かった印象です。

「足が冷える」と訴える患者様の多くが神経と血管の複合的要因で症状が出ていることが多いようです。
高齢者は複数の病気を抱えていることが普通です。一度に全部を完全に治すことはできなくても、ひとつずつ治して、少しでも症状が軽くなって生活の質が落ちないようにすることが大事だと思います。

それでは動脈、静脈、神経にも異常がなくて、それでも症状がある場合はどうなるのでしょうか?

冷え症 その3

冷え症を診察する上で最初に動脈血流の低下をチェックします。

動脈血流が低下すると下肢に新しい血液が供給されなくなるので、実際に下肢の温度は低下します。特に完全に血流がなくなった場合(重症虚血)には、足を触ると氷のように冷たくなります。

 

動脈血流が低下する原因としてはざっと以下のようなものが考えられます。

閉塞性動脈硬化症

下肢動脈塞栓症

Blue toe症候群

バージャー病

膝窩動脈外膜嚢胞

膝窩動脈捕捉症候群

膝窩動脈瘤

大動脈弁狭窄症

などなどです。ほとんどの患者さんは聞いたことがない病気ばかりだと思います。他の科の医師の多くも知らないと思います。

 

ほとんどの患者さんは「冷え症=血流低下」と思い込んでいますので、実際に血流低下があるかを確認することからスタートします。実際に血流低下があるような場合にはその原因を探ることと治療を開始します。なかには重症の血流低下があって、早期の手術が必要な患者さんもいるので、最初に血管外科で診断を受けるのが大事です。

 

では血流低下が「ない」場合はどうするのでしょうか?

下肢静脈瘤と閉塞性動脈硬化症を合併した例

この患者様は足が痛い、歩けない、血管が膨らんでいるとのことでいらっしゃいました。病院でも下肢静脈瘤ということで血管外科にまわってきました。

お話を伺うとすぐに普通の静脈瘤ではないということが分かりました。動脈の検査も並行して行い、閉塞性動脈硬化症と下肢静脈瘤の合併とわかりました。

まずは閉塞性動脈硬化症の画像所見です。

黄色の矢印の箇所で外腸骨動脈が高度狭窄しています。また、右浅大腿動脈(赤い矢印を結ぶ区間)が閉塞しています。浅大腿動脈の閉塞区間では側副血行路がよく発達しているので、浅大腿動脈の閉塞は以前からのものと推測されます。

 

次は下肢静脈瘤の画像所見です。

青い矢印で示すように右大伏在静脈が累々と拡張しています。典型的な下肢静脈瘤です。レーザーによる日帰り手術できれいに治ると考えられます。

 

この患者様は点滴と抗血小板薬の内服で閉塞性動脈硬化症による症状はすぐに軽快しました。今後は下肢静脈瘤のレーザー焼灼術と外腸骨動脈の狭窄に対するカテーテル手術を行う予定です。

 

このような治療は動脈・静脈両方の専門家である血管外科医にしか行なえない治療です。かつ、病院との連携がとれている地元密着の専門クリニックにしかできない治療です。今後はこのような病診連携による高度な日帰り治療が主流になっていくのではないかと思います。

 

クリニック概要

医院名 湘南平塚下肢静脈瘤クリニック
診療科目 内科・血管外科
住所 〒254-0043
神奈川県平塚市紅谷町14-20 FT共同ビル3F
TEL JR東海道・湘南新宿線「平塚駅」北口・西口より
徒歩3分
電話 0463-74-6694
休診日 日曜日、祭日、土曜日午後
診療時間 日・祝
9:00~
12:00
13:00~
18:00

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